桃太郎少年

ここ最近、桃太郎少年がやたらと目につく。

桃太郎のはなしは、よくよく考えれば、現代的には少し妙だ。

鬼は悪さをしたが、桃太郎は、鬼ヶ島を襲撃した。
悪さをしていた鬼を現行犯でやっつけにいったわけではなく、悪さをしていない時の鬼を襲った。
鬼は今後も悪さをする、改心しないという前提で。


やられたらやり返せ、相手の隙をつけ、そんなところか?
現代の国際社会でやると、袋叩きにあうか、泥沼化しそうな戦術である。


しかし、さて、話し合いがまずは第一の現代社会に合うようにするとして、桃太郎少年が、鬼に話し合いましょうと言って、鬼は相手をしただろうか?
なにしろ、お供に犬、猿、キジを連れた少年である。

お菓子をあげるから帰りなさいと言われるか、悪くすれば、鬼に食べられてしまったかも。

では、桃太郎は、何を持って、どのようにすれば、話し合いのテーブルにつくことができるのだろう?

そもそも、鬼は本当に鬼なのか?常識の異なる異人種なだけではないのか?という疑問もある。


この続きは、ニュースを眺めてみるとしよう。
現代も桃太郎のものがたりは、あちらこちらで見られるから。
見た目はおじさんばかりだが。

心の中が桃太郎のようなおじさんは、ニュースでいくらでも見れる。

賢い桃太郎は現れるだろうか?

それとも、もう、ヒーローに頼る時代ではないのだろうか?
しかも、少年。
現代社会は複雑だ。
必要なのは桃太郎少年の正義感ではなく、知恵かもしれない。


桃太郎は、犬と猿とキジで勝てたんだよな、ちなみに桃太郎がしたことは犯罪だけどな、などと思う大人になってしまった私だった。

ちなみに、子供時代、私があのものがたりで一番気に入っていたのは、桃が川を流れるくだりだった。
ダンボールを桃に見たてて私はコロコロ転がって遊んだ。

おばあさん役に、包丁で切られるところで、だいたい桃太郎役は死んで、子供たちは、残念!やりなおし!とゲラゲラ笑った。
包丁に当たらないように切られるのは難しい。

これまたなかなか残酷な遊びだが、むちゃくちゃ面白くて、みんな笑い転げていた。

物語の序盤がクライマックス。
私は、鬼退治には興味がわかず、世界を救わない子供だった。