会話から

「ほら、あの俳優さん、え〜と、名前なんだっけ?」

フォレストガンプに出ていて(*場所)
演技がうまくて(*特徴)
スピルバーグの映画によくでてて(*関係性に関わる特徴)

「え〜と、ああ!、トム・ハンクス(名前)」



この会話は実話。
最近、あれ(*that)、が会話の中でやたらと増えてきた夫婦は、このようなやりとりをよくする。
出てこないのはいつでも名前。


昨日はこの後、会話が続いた。
わかった!と私が言ったからである。

なぜ、クリーンランゲージで、いきなりメタファーの名前を聞かないのかわかった!

認知と記憶の構造がそうなってるからだ!と。
名前は最後に記憶してる。
最初に認知しているのは、必ず場所だ。

それが「ある」ことを最初に認知する。

次に特徴を覚える。

そして、他者と共有するために名前を覚える。
他者と共有しないなら、名前はいらない。
名前はなくても自分はわかる。
関係性がそこにあるから、名前がいる。


なぜなら、トム・ハンクスの顔は、すでに頭の中に浮かんでいたからだ。
人の名前が思い出せない時、だいたい顔は浮かんでいる。
名前を思い出せないのは、誰かわからないこととは違う。
誰かわかっているのだ。
ただ、その人の存在を象徴化する(シンボリック)名前がわからないだけなのだ。


私がひとり、嬉しそうに、わかった、わかった!と言っていると、夫が
「名前には意味はないからな」と言った。
 

わかった、わかった!と私は言った。
そして、人の自然な記憶の仕方を利用して、メタファーを生成するから、するりと思考に入りこめるのかと思った。


老化が役立った!と笑った。

話は続いた。

「で、その映画、女優さんは誰が出てるの?」と私は尋ねた。

「あれや、ほら、あれ、あの人。
アカデミー賞を何度か取ってて(特徴)、ほら、あれ(場所)にも出てたわ、ほら、あれ・・・」

夫は、思い出せなかった。

ジュリア・ロバーツ?と私が聞くと、違う、と夫は言った。
違うことはわかるのだ。
名前はわかっているけれど、思い出せないのだ。


私はまた、わかった!と言った。

「場所がわからないと、名前は出てきにくいのよ!さあ、映画を思い出して」


話はしばらく続いたので、この後は省略。

女優さんの名前は、メリル・ストリープ。
名優で、ソフィーの選択、永遠に美しく、その他いっぱいに出てて、髪は金色。


スピルバーグが監督してて、トム・ハンクスとメリル・ストリープが出てる映画が、最高機密文書とわかった。

映画の内容は、まだ見ていないのでわからない。



ということは、と後から思った。
新しいメタファー「白い砂浜」の特徴と場所を、私はすでに知っているはずだ。

いきなり、名前は登場しない。
さあ、思い出そう、と。
すでに、場所があるはずだ。

さあ、見つけよう。
しばらく、「白い砂浜」だ。

会話と対話をリソースに、探検だ。