ジーザス!

ビデオやさん達のことを思い出していた。

ブライダル業界で働いていた頃。
もう、十五年は前の話だ。

最初に、私は、ビデオやさんの事務所に殴り込みに行った。
「ださい!」と商品の文句を言いに。

やがて、私は、年の近かったビデオやさん達と仲良くなりはじめた。

「こんな人はいませんよ」と、半ばめんどくさがりながら、ビデオやさんは、しょっちゅうやってくる私の相手をしてくれた。

徹夜で一緒に作業を何度もした。


ここしばらく、彼らが、私に教えてくれた基本を、私は思い出していた。

人が文字を読むには何秒かかる。
クロスフェードが与える印象は、秒数によって変わる。
この位置までしか文字はいれてはいけない。
これは、こう。
あれは、こう。


これをこうして、あれはこう。


「スケッチブックを持ってね、旅をしながら、絵本を書くの。
それが、私がやりたい仕事なの。」

ぶつぶつ文句を言いながら、仕事する、私の愚痴もたくさん聞いてくれた。

「いつか、きっとそうなりますよ」と、あるビデオやさんは言った。



人生に無駄はない。
出会いが全て。

私は、本当にそう思った。


しばらく前に、ここ数年使っていたデスクトップ型のパソコンが、だめになったので、私はパソコンを旅用に買って持っていた銀色のノート型パソコンに変えた。

体調のことがあるので、作業は全て、布団の中だ。

布団の中に座って、短い静止画がちょっと動き、文字と音楽と合わさる動画を作っていて、私は、ビデオやさん達のことを思いだしながら作業した。

これは、何秒。
位置はここ。。。


そして、私は思った。
スケッチブックみたいだな。


あ!!!と、私は思った。


絵本!
絵本!


これだ!


私の「星の王子さま」は、紙の絵本じゃない!


私は気がついた。


音楽が流れる絵本「みたいな」映像だ。



目から涙が一本だけ出た。


病気にならなければ、私は、この作業をしなかった。
私がなぜこれをやろうとしたかといえば、気晴らしと暇潰しだ。


元気なままなら、私は気がつかなかった。


ジーザス!

お〜まい、ゴッド!!!


そして、私は、手元に、ひとつ、お話を持っていることを思い出した。

何年か前、絵本コンクールに出したことがある話だ。
最終まで残ったが、絵が手書きじゃなく、デジタルだという理由で落選した。


動画なら?


明日から、私がやることは。

アニメーションの作り方の勉強だ。

まだまだ外には出られない。
人とも会えない。


体調は、ましになってる。
しかし、あんまり、布団からは出れない。


ばっちりだ。。。


ジーザス!
黄色いバス!

ジーザス!


私は叫んだ。