火星移住、選抜テスト
私は、簡単にそれを見分ける方法に気がついた。
そして思った。
みな、今は、火星に向かう宇宙船に住んでいると思えばいい。
今、必要なことは、火星移住に必要なことと似たようなものだ。
火星は未知である。
そりゃ、知らない、抗体を持たない病気がばんばん流行るだろう。
体が慣れるまでね。
もし、私が火星移住プロジェクトに関わっていたら。
私は現在を利用して、火星移住権を与える人を選ぶ。
家に閉じ込めてみれば、テストはできる。
そしてすでに、火星移住者選別プログラムから脱落した人は多い。
ここまで、「自粛に疲れた」と一度でも口にした人。
残念ながら、第一次試験に落選だ。
精神的疲労に対する耐性が弱い。
火星に向かう宇宙船の中には数年、閉じこもり。
なおかつ、到着した先でも、地球のように呼吸はできない。
基本は、ドーム暮らしだ。
火星への移住権を手に入れるには、思ったことを表現しない、または、疲れを昇華させる術を身につけよう。
ひとりだけが疲れている時は、共感的理解がそこに使える。
今は違う。
万能な手法はない。
全員が同じ状況にある時は、全員がサバイバル中だ。
疲れたことに理解をしめす必要があるのは、子供、老人、病人に対してのみで、大人は励ましあいながら、立ち向かう必要がある。
私たちは、エイリアンと戦闘中だ。
忘れてはいけない。
全員、疲れている。
言うか言わないか、そして、どれくらい感じているかは別として、みんな、疲れている。
口にするかしないかだけの差だ。
ここまで、「これくらいならいいだろう」と、遊びに出かけた方。
残念ながら、落選だ。
火星では、ひとりが自分を優先すると、そのコロニーは全滅だ。
むこうみずは命を落とし、さらに他者の生命を脅かす対する脅威となる。
火星は新しい状況が次々訪れ、大変ストレスが高いことが予測される。
ストレス解消法が、いつものやり方しかできない創造性の低い人は、火星向きではない。
クリエイティブさを磨く必要がある。
ついでに、想像力。
早くいつもの暮らしに戻りたいと考えている人も、残念ながら、火星にはいけない。
そこには、毎日、未知しかない。
新しいことへの適応能力が必要だ。
新しいいつもの暮らしを作る必要がある。
どうやれば、居心地よくいられる?
どうすれば、心理的負荷を下げられる?
今、何をすればいい?
工夫が必要だ。
今は、知らない惑星に住んでるみたいなもんだ。
幸い、ひとりで放り出されたのではない。
みんな一緒だ。
あなたは、ひとりじゃない。
大丈夫だ。
人を批判しまくっていたり、不安で暗い顔の人も、残念ながら落選だ。
火星のコロニーの中では、みなが、協力しあい、はげましあって生きていかねばならない。
勇気と笑顔、ユーモアが必要だ。
上を向いて生きよう。
いまは、世界中に同じ事態が起きているから、こんなに選別テストがしやすいことはない。
火星移住の人選び担当者は楽だわね。
などと、朝から考える変な日。
スタートレックを見過ぎたか。