風邪薬

金曜日、ドラッグストアで、そうだよなと、私は思った。
この時期、いつもならレジ前で幅をきかせる薬は花粉症の薬だ。

今年、そこに並んでいて、よく売れていた薬は、風邪薬だった。
総合感冒薬ではなく、症状が絞られている薬だ。

今は4月だ。
風邪薬は、静かにレジから遠い棚に並ぶ季節だ。


私は、日本で感染者数は爆発せず、これから先も、他の国みたいには爆発しないのではないかと思った。
軽症者のほとんどは、病院へは行かないだろうと思ったからだ。

病院へ行っても、軽症であれば、特別な治療はどうせしない。
隔離されるだけだということを、ニュースを読むか見るかする人は知っている。
病院のベッドがやばそうだということを、多くの人はさすがに知っている。

風邪薬を飲んで家にいる方が、まだ自由がきく。


次に取られる政府の方針がどうなってきてるかも知っている。
医療従事者の人は限界に近い。
ここは社会主義の国じゃないから、全国の医療従事者を東京や大阪に集めてくるわけにはいかない。
そもそも、もともと、医療従事者の人数は足りていない。


そして騒いだ芸能人のおかげで、流行病にかかるのは、なかなかハードルが高いことに、みんな気づいてしまった。
その病名は、日本では手に入れるのに手間がかかる。

この段階で、ニュースを見ない人数は、そんなに多くないだろう。
少なくとも、家族のうち1人くらいは、追いかけている人がいるだろう。
家族の食を担当する人は、こういうときはニュースは真剣に追うはずだ。

ここは、週末のたった二日間、家の中にいることを苦痛に感じる人が多い国だ。
精神的な疲れに弱い人が多い、快適な国だ。

日本は市販薬が非常に発達している。
ドラッグストアは都会であれば、どこにでも、田舎でもあっちこっちにある。


休業補償は全員にはない。
全員は助けないと、会社は助けるがサラリーマン個人は助けないと、いつもの経済対策と同じ判断を、首相はした。

治療費は保険適用だが、一度隔離されたら、二〜三週間は出られない。
有休がある人はいい。
でなければ、その間、収入は止まる。
収入は減るが、貧困家庭でなければ、国からは手当てはでない。
個人ではなく、企業に休業補償を出す、しかも、ほとんどの人が普段一日に稼ぐ金額より低い額とは、絶妙だ。
普通の会社は、きっと、持ち出しと手続きを嫌がるだろう。


私が家族を養っていたなら、私なら、病院には症状にごまかしがきかなくなるまで、絶対にいかない。
子供が大丈夫ならば慌てる必要はない、それより、生活費を稼ぐ方を優先する。

満員電車で発生しないカラクリはこれじゃないかと、私は感じた。
満員電車に乗っているのは、家族を養っている人が多い。


厚生労働省が出した基準は、37.5度の熱があるかないかだ。
熱は出ないこともたくさんあるのがわかっている。

けれど、検査は37.5度の熱が続いていることが基準だ。
多くの会社、特に人が足りない会社では、この基準で動いているのではないかと推測する。

37.5度くらいの熱なら、薬でいくらでもごまかせる。


日本で数が増えないのは、割に冷静に事態を見極め続けている人が多いからではないかと思った。

政府が隠しているのではなく、病院へ行かないから、数が増えない。
軽症ならば、個人には病院へ行くメリットがない。

田舎は人目や噂を気にするだろう。
都会は、お金でコントロールできるだろう。

首相の取った方針は、ある意味、成功した感じがする。
数は増えない。爆発しない。

自分で稼がない人達と、お金が余っている人達が、バカを繰り返さなければ。


貧困者にしかお金は出さないと言い切ったことで、さらに、国民が自ら抑止する方向に、話を進めている感じがする。

うまい。
だけど、人間の命については、どう考えているんだろう?


私はそう思った。

私が住むのは、流行病にかかれない国。
政府は隠していないと、私は思う。


みなが空気を読んでるだけだ。
なぜなら、We are Japanese people.


私は大阪に住んでいる。
私の近所では、風邪薬は、ものすごい勢いで、毎日、売れている。

創造性と人間愛にかけるリーダーのおかげで、もしかしたら、集団免疫の獲得が一番早いのは、日本かもしれないな。