保健所に電話

戦争中とか、このやるせない思いをした人、いっぱいおったんやろうなと思った。
自分の人生の中に、こんな思いをする日が来るとは思わなかった。

何を選択しても、最良ではない。
何を選ぶかしかない。

私は、命を選んだ。

しかしながら、果たして、これが正解かどうかもわからない。
私が、他者の命を守る選択をしたことで、その守りたい命の生活には不自由が生じる。

そして、私が抱えているのは、あくまでも可能性だ。


私が検査すればいいんでしょ?
はっきりさせたらすっきりするがなと、私は相談のために保健所に電話した。

保健所の人は電話口で、本当に申し訳なさそうに言った。

ごめんなさい、おそらく、あなたも、あなたが言う方も検査はできない可能性が高いです。


私は、回ってないんですよね?と言った。

電話口の女の人は、本当にごめんなさいと言った。


今は、どなたかすでに感染された方の明らかな濃厚接触者でなければ、発熱がなければ検査はできませんと、女の人は、また申し訳なさそうに言った。

これは、医療や福祉関係者でも同じです、と。


私は、私の担当する人に移したくないだけなんです。もともと弱い方もおられるので。
会社ははっきりは言わないけれど、私には検査して欲しくなさそうです、と言った。
女の人は、そうでしょうね、と言った。

お名前だけお伺いしてもいいですか?と女の人が言ったので、私は名前を告げた。


そして、わかりました!やはり、自宅待機しかないですねと、私は言った。

女の人は、本当にすみません、と本当に申し訳なさそうに言った。

わかりました!二週間、自宅待機します!と、私は明るめの声で言って、電話を切った。


ほんまに、熱がなかったら、検査してもらわれへんのか、と私は理解した。
噂ではあったが、ほんとだった。
今の人数ですでにこうなら、これはもう、大変なこと。

そして、よし、大人しく家にいよう!二週間!決まり!と気持ちは吹っ切れた。

二週間コースに決定。