お菓子とお金の関係性

久しぶりにご登場頂こう。
おそらく、彼女が絡んでいるはずだ。
頭に浮かぶのも彼女だ。
なんせ、話はお菓子とお金の関係性だ。

朝起きれず、毎朝、お母さんに引きずられて幼稚園に通い、お片付けができず、陽気でおしゃべりが止まらない、遊びに忙しい負けん気の強い幼稚園児。

ユカリちゃん、5歳。

幼稚園に入り、ユカリちゃんは家から2分の駄菓子屋さんへ、自分ひとりでおやつを買いに行く許可を、お母さんからもらった。
お家で、お母さんがおやつを作っていない日に。

ユカリちゃんは、50円を握りしめて、幼稚園の制服のまま、駄菓子屋さんに走った。
なぜか、3歳の妹が、同じように50円を握りしめて嬉しそうについてくるのを、気に食わないと思いながら。
妹はなんでも真似したがる。
まだ幼稚園じゃないのに、と、ユカリちゃんは思った。


ユカリちゃんは、駄菓子屋さんにつくと、まず、最初にボタンを押すとでてくるカラフルなガムか、紐のついたフルーツの飴にチャレンジすることにしていた。

変わった色のガムかメロンの飴がでれば、10円は100円になる。
お菓子がもっと沢山買える。

ユカリちゃんの中には、ギャンブラーの遺伝子がしっかと遺伝していた。
誰も教えないのに、ユカリちゃんは、駄菓子屋さんでは、必ず、ギャンブルに挑んだ。

アイスも、当たりつきのものしか買わなかった。

時には、いちごの飴を5つ、食べていることもあったし、ガムばかり噛んでいることもあった。

ある夏、10回連続、アイスで当たりを当てて、お腹を壊したこともあった。

駄菓子屋さんには、50円では買えないお菓子もたくさんあった。
ユカリちゃんは、ポッキーが欲しくてたまらなかった。

お母さんにお願いしてみたら、お母さんは言った。
お金をためなさい。
そうすれば、ポッキーが買えるじゃないの。
全部買ってしまわないで、毎日10円残しなさい。
そうすれば、5日でポッキーは買えるわよ。


幼稚園児の5日は、永遠に等しい。
そんなはるか未来は待てない。

ユカリちゃんは、お母さんのいうことは聞かず、ギャンブルにかけることにした。
それから、お母さんが買い物に行く時に、お菓子売り場にへばりつく作戦で、ポッキーは手に入れることにした。

または、お父さんかおじいちゃんを連れて、駄菓子屋さんに行くか。
それから、お父さんの靴を磨いて、お駄賃をもらうか。
お父さんのたばこを買いに行って、お釣りをもらうか。(ユカリちゃんは昭和の幼稚園児だ。)

ユカリちゃんは、買えるだけお菓子を買うという選択をした。
ユカリちゃんがお金で買うのはお菓子だけで、ユカリちゃんにとって、お金はお菓子だった。

お母さんから渡されたユカリちゃんの貯金箱に入っていたのは、ミミズのような字で書かれた願いごとの紙とか、折り紙でおった何かとかで、そこにお金が入っていることはまずなかった。



この幼稚園児を、私は、放置してきた。
仕事に使うからだ。
ものすごく使っている。
ユカリちゃん無くして、私の仕事は成立しない。
彼女には問題はない。
ただの幼稚園児だ。
癒す必要もない。超元気だ。

だが、しかし、ユカリちゃんよ。

さあ、話し合おう。
お互いが納得できる結論を出そう。
ユカリちゃんにはなんら問題はないが、ユカリちゃんに少々譲ってもらわないと、私が困る。

ユカリちゃんは、お金でもらうより、お菓子でもらう方がめんどくさくなくていい。


こういうことは時々ある。
インナーチャイルドが元気すぎて、強すぎるために、今に影響しすぎること。
その場合、癒す必要はない。
ただ、折り合いをつける必要がある。


ユカリちゃんよ。

お菓子は、今後も、好きなだけ食べさせてあげよう。
今は、ユカリちゃんが夢にも思わなかった美味しいお菓子も、私は手に入れることができる。

ポッキー。
好きなだけ食べさせてやろう。
安いもんだ。


お菓子に使わないお金、お金のままで人にあげるお金を私は今からたくさん必要とする。
今までだってそうだったけど、ここからは、けた違いに必要とする。

ユカリちゃんの手元には残らない、ただ、ユカリちゃんを経由するだけのお金をたくさんたくさん必要とする。

いわば、ユカリちゃんはお年玉をたくさん配る。

わかるかね、ユカリちゃん?

ユカリちゃんのお菓子はキープすると、私が約束しよう。
もう人からお菓子をもらわなくても大丈夫だ。

経由するお金を増やしてくれたら、私が、好きなだけお菓子を買ってやろう。


ひとりでやってるので、自分に質問しておこう。
「すると、次に何が起きるか?」


私が太る。


それはいかん。
この方法は、使えない。


「この方法は使えない時、私は何が起きればいいか?」

ユカリちゃんと私の交渉はまだ続く。