不気味に愛おしい世界
喫茶店の二階にひとり座って、アイスミルクティーを飲みながら、窓から外を眺めていた時。
この世界は、なんと愛おしいのだろうと、道を歩く人々を抱きしめて回りたい衝動にかられた。
どうかしている。
外を歩いていたおばあさんや、車に乗ろうとしている家族連れや、自転車に乗った高校生や、そこにいた全ての人の命が愛おしく見えた。
紅茶に何か入っていたんじゃないかと疑うくらい。
なんてことないただの日のただの瞬間に、こんなに世界が愛おしいのは、はっきり言って不気味だ。
それでも、なんでかわからない涙が出てきた。
他の人に見られないように、窓から顔を背けられなくなった。
すごい場所に住んでいるんだと思った。
私が住んでいるのは、去年のM1チャンピオンが住む駅だ。
この辺りは、芸人さんがたくさん住んでいる。
最近、私は角刈りのM1チャンピオンに会いはしまいかと、駅の前にあるこの喫茶店によく来る。
会ったらサインをもらおうと、いつでもペンを持っている。
私は、ミーハーだ。
しかし、ここに住む人々は、M1チャンピオンどころではない。
もっとすごいんだ、と思った。
やはり、紅茶に何か入っていたのかもしれない。