どうしてクリスチャンになったんですか?(6)
私は夫に、「洗礼を受けるよ」と言った。
夫は、「どこで?」と尋ねた。
私は「水さえあれば、好きなところでいいんだって。だから、せっかくだから、川?」
すると、それまで何も口を出さず、私が礼拝に遅刻しないようにただ協力し続けてくれ、「今日はこんなでね」という私の教会話を、ふんふん聞いていた夫が、そこで初めて、不安を口にした。
「風邪ひかへんか?」
夫が、私がクリスチャンになることについて唯一抱いた不安は、私が洗礼式で風邪をひくことだった。
「あのね〜、クリスチャンになるわ。」と言った時は、夫は、「え?今までは違ったんか?僕、君はクリスチャンだと思っとったわ」と言った。
なんでや。
神社で結婚式をしたやないか。。。
彼は、本当に、のんきな人である。
そして、夫の不安を神さまが聞き届けたのかなんなのか、私の洗礼式の場所は、スタジオがある家のお風呂を借りることに決まった。
手ごろな川が思いつかなかったのだ。
私が夫に「あのね〜、お風呂になったわ。それなら風邪ひかへんわね」と報告すると、夫は、「お湯?」と返した。
私が、多分、お湯ちゃう?寒いやんと言うと、「それならいいよ」と納得したようにうなずいた。
私は「衣装はどうしようかな〜?」と言った。
なんでもいいですよということだったけど、イメージ的には白かしら?どうかしら?と、私は考えた。
夫は「白ちゃう、やっぱり」と、そこには参加してきた。
というわけで、私は、白い麻のロングシャツをユニクロで新調した。
後からも着れるかわいいのにした。
洗礼式の準備で、私が、気にしていたのは、衣装は何を着るか?と、終わった後のお食事会で何を振る舞うか?どういうふうにディスプレイするかだった。
何かイベントパーティ的なイメージしか、私には浮かばなかった。
余興の出し物が、私の洗礼。
プチギフトはどうしようかな?とか、いろいろ考えるのは楽しかった。
ジーザスは、「ちょっと違うんだけどねえ」と、苦笑いだったかもしれないが、特に問題なく、楽しく準備は進んだ。
当日も、みんな楽しいのがいいね、と、私は思った。
洗礼式の当日、最初に歌う歌は、好きなのでいいと言われたので、手拍子で楽しい曲をリクエストした。
そのあたりで、お風呂を準備してくれるRちゃんが、「ねえ、お風呂は何度だろう?」と聞いてきた。
私とRちゃんは、う〜んとなった。
「いい湯だなは、なんか違うよね?」、そうだよねとなり、そして、Rちゃんが、「38度くらいだね」と言った。
そして、洗礼式の日が来た。