ユカリちゃんと私の関係性
それはクリスマス前。
ユカリちゃん5歳は、手に握った、小さな細長い赤いあまり可愛くない妖精の人形を、空に向かって掲げていた。
たまたま外に出てきた近所のおばちゃんが尋ねた。
「ユカリちゃん、毎日、何してんの?」
「あのな、サンタクロースにお願いしてんねん」とユカリちゃんは答えた。
何が欲しいの?とおばちゃんは尋ねた。
ユカリちゃんは答えた。
「あのな、ピンポンパンのレコードがかけたいねん」
ユカリちゃんは、”楽しい幼稚園”のおまけに入っていた赤い透明のセロファンみたいな素材でできたレコードを、”自分の”レコードプレーヤーで好きな時に聴きたいと思っていた。
(当時、子供用のおもちゃのプレーヤーが、玩具屋さんで売られていた。)
そうすれば、好きな時に踊れるからだ。
ユカリちゃんは、家の前で、空に向かって、サンタさんに、毎日毎日、お願いした。
ユカリちゃんは、続けられることと続けられないことがはっきりしている子供だったが、こういうことはせっせと続けることができた。
自分がやりたいことなら、ユカリちゃんは続けられた。
そして、クリスマスの朝。
ユカリちゃんは、サンタさんが、お願いしていたものを、ちゃんと持ってきてくれたのを見つけた。
おじいちゃんからは、赤い竹馬をもらった。
お母さんは、絵本とクッキーをくれた。
しばらくして、ユカリちゃんのお誕生日がきた。
ユカリちゃんは、頼んではいない”いちごちゃんハウス”をお父さんとお母さんからもらった。
いちごちゃんという小さいお人形の一家が住む家だ。
ユカリちゃんは、いちごちゃんを気に入って、毎日それで遊んだ。
_
考え事につまった時は、考えるのをやめて、一晩眠ってみる。
そして、翌朝。
つまり今朝。
話は、お菓子とお金の関係性ではなく、ユカリちゃんと私の関係性であると気づく。
話の鍵を握るテーマは、本人が思っているところと別にある。
そういうことは、よくあること。
テーマはお菓子とお金じゃない。
テーマはユカリちゃんと私。
というかね。
ユカリちゃんは、5歳なのに、すでに経済活動に励んでいる。
ユカリちゃんのお母さんは、駄菓子屋さんへいく時の50円とお年玉以外は、ユカリちゃんにお金をくれなかったからだ。
ユカリちゃんが、ポッキー!とうるさかったので、お父さんが、「おい、靴を磨いてくれたら、お父さんが50円やる。お前、靴を磨け」と、お金をもらえる方法を教えてくれたのだ。
靴の磨き方はお母さんから教えてもらった。
ユカリちゃんは、そうやって、誰かがして欲しいことをしてあげたら、「助かるわ、ありがとう」と人が言ってお金がもらえることを覚えた。
家の中には、お金がもらえるお手伝いともらえないお手伝いがあった。
ユカリちゃんには、どう違うのか、どうして全部のお手伝いでお金がもらえないのか、その区別がつかなかった。
まあ、ユカリちゃんは、ポッキーかファンタくらいしか、50円以上のお金を必要としなかったので、それが欲しい時しか、お手伝いでお金を欲しいとは思わなかった。
今、考えると、ユカリちゃんの生活に直接関係しないことを手伝った時に、お金をもらえていたような気がする。
ユカリちゃんは、お金が入り続けることを体験し続けた。
ユカリちゃんは、欲しいと思っただけ、それを手にしている。
_
そして、そこまできて、私はふと思った。
なぜ、「星の王子さま」なのだろう?
世界的なベストセラーは他にもたくさんある。
古くはシェイクスピアとかね。
ヘミングウェイとかね。
村上春樹とかね。
のだめカンタービレとかね。
心ときめく片付けとかね。
ハリー・ポッターもそうだね。
いろいろある。
_
そして、私は思った。
星の王子さまを初めて読んだのは、何歳の私だ?
この計画の発案者は、何歳の私だ?
_
そして、私は思い出した。
もうずいぶん前にみた、白昼夢のことを。
過去の「私」たちだというユカリちゃんくらいの女の子が、私の前に立って言った。
「あなたが頑張ってくれたから、私たちはとても幸せです。
今度は、私たちがあなたを幸せにします。」
(ブログのどこかに書いてると思う。)
_
私は思った。
星の王子さまを書いてくれるのは、何歳の私だ?
ユカリちゃんじゃない。
ユカリちゃんは、ミミズのような平仮名しか書けない。
こう言う時は、あれこれ考えず、ただ問いかければいい。
「星の王子さまを書いてくれるのは、何歳の私?」
そして、私は、それが何歳の話か思い出した。
そして、「星の王子さま」と言う言葉で、私が私に何を伝えたがっていたのかがわかった。
私は、私に、中学二年生の時に書いた読書感想文を思い出させたかったのだ。
そこに、ヒントがあったから。
星の王子さまは言った。
「大事なものはね、目には見えないんだよ。」
そして、私は、今から自分が書く小説のタイトルだけ知った。
いつか、本屋さんかamazonで見つけてくださいね。
本のタイトルは、「この世のはずれ」だと思う。
私は今、何歳の私と手を組んで、それを書けばいいのかを知った。
そこにあった目には見えなかった大事なもの。
それを書けばいいのだと知った。
そして、話の最後に、ユカリちゃんがニヤッと笑った気がした。
「ね。お菓子やったら、あんたは動くやんか?
お菓子の話やったから、一生懸命、考えたんやろ?
私ら、あんたに詳しいねん。」
そうして、たくさんのワタシが、キャキャキャキャと大笑いしている気がした。
人生は、おとぎ話のようだ。
_
そしてそれから、今、私は、私が書いた小説のプロットは、2つあるということに、気がついた。
2箇所に分かれて保存されているその話は、そもそもは、1つの話なんだと気がついた。
一つはこのブログ。
もう一つは、別のホームページ。
一つは現実(記憶と知識)、一つはファンタジー。
2つをまとめろということか?
_
「な?めんどくさいやろ?
お菓子ででもつらんと、あんた、考えてくれへんやろ?
めんどくさいの嫌いやもんな。」
小憎たらしい冷めた目をした中二のワタシが、ばかにしたように言った気がした。
ともかく、タイトルは決まった。
お菓子につられて(笑)
そして、私は、10年前から準備してきた、ということを知った。
そして、思った。
ああ、この方法はめんどくさい。
でも、私はきっとやる。
めんどくさい方法しかないからこそ、私は自分では気づかず(というか気付きたくなかったんだろう。往々にしてある)、ユカリちゃんはお菓子を持って現れたのだから。
そして、気づいちゃったから。
ユカリちゃん5歳は、手に握った、小さな細長い赤いあまり可愛くない妖精の人形を、空に向かって掲げていた。
たまたま外に出てきた近所のおばちゃんが尋ねた。
「ユカリちゃん、毎日、何してんの?」
「あのな、サンタクロースにお願いしてんねん」とユカリちゃんは答えた。
何が欲しいの?とおばちゃんは尋ねた。
ユカリちゃんは答えた。
「あのな、ピンポンパンのレコードがかけたいねん」
ユカリちゃんは、”楽しい幼稚園”のおまけに入っていた赤い透明のセロファンみたいな素材でできたレコードを、”自分の”レコードプレーヤーで好きな時に聴きたいと思っていた。
(当時、子供用のおもちゃのプレーヤーが、玩具屋さんで売られていた。)
そうすれば、好きな時に踊れるからだ。
ユカリちゃんは、家の前で、空に向かって、サンタさんに、毎日毎日、お願いした。
ユカリちゃんは、続けられることと続けられないことがはっきりしている子供だったが、こういうことはせっせと続けることができた。
自分がやりたいことなら、ユカリちゃんは続けられた。
そして、クリスマスの朝。
ユカリちゃんは、サンタさんが、お願いしていたものを、ちゃんと持ってきてくれたのを見つけた。
おじいちゃんからは、赤い竹馬をもらった。
お母さんは、絵本とクッキーをくれた。
しばらくして、ユカリちゃんのお誕生日がきた。
ユカリちゃんは、頼んではいない”いちごちゃんハウス”をお父さんとお母さんからもらった。
いちごちゃんという小さいお人形の一家が住む家だ。
ユカリちゃんは、いちごちゃんを気に入って、毎日それで遊んだ。
_
考え事につまった時は、考えるのをやめて、一晩眠ってみる。
そして、翌朝。
つまり今朝。
話は、お菓子とお金の関係性ではなく、ユカリちゃんと私の関係性であると気づく。
話の鍵を握るテーマは、本人が思っているところと別にある。
そういうことは、よくあること。
テーマはお菓子とお金じゃない。
テーマはユカリちゃんと私。
というかね。
ユカリちゃんは、5歳なのに、すでに経済活動に励んでいる。
ユカリちゃんのお母さんは、駄菓子屋さんへいく時の50円とお年玉以外は、ユカリちゃんにお金をくれなかったからだ。
ユカリちゃんが、ポッキー!とうるさかったので、お父さんが、「おい、靴を磨いてくれたら、お父さんが50円やる。お前、靴を磨け」と、お金をもらえる方法を教えてくれたのだ。
靴の磨き方はお母さんから教えてもらった。
ユカリちゃんは、そうやって、誰かがして欲しいことをしてあげたら、「助かるわ、ありがとう」と人が言ってお金がもらえることを覚えた。
家の中には、お金がもらえるお手伝いともらえないお手伝いがあった。
ユカリちゃんには、どう違うのか、どうして全部のお手伝いでお金がもらえないのか、その区別がつかなかった。
まあ、ユカリちゃんは、ポッキーかファンタくらいしか、50円以上のお金を必要としなかったので、それが欲しい時しか、お手伝いでお金を欲しいとは思わなかった。
今、考えると、ユカリちゃんの生活に直接関係しないことを手伝った時に、お金をもらえていたような気がする。
ユカリちゃんは、お金が入り続けることを体験し続けた。
ユカリちゃんは、欲しいと思っただけ、それを手にしている。
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そして、そこまできて、私はふと思った。
なぜ、「星の王子さま」なのだろう?
世界的なベストセラーは他にもたくさんある。
古くはシェイクスピアとかね。
ヘミングウェイとかね。
村上春樹とかね。
のだめカンタービレとかね。
心ときめく片付けとかね。
ハリー・ポッターもそうだね。
いろいろある。
_
そして、私は思った。
星の王子さまを初めて読んだのは、何歳の私だ?
この計画の発案者は、何歳の私だ?
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そして、私は思い出した。
もうずいぶん前にみた、白昼夢のことを。
過去の「私」たちだというユカリちゃんくらいの女の子が、私の前に立って言った。
「あなたが頑張ってくれたから、私たちはとても幸せです。
今度は、私たちがあなたを幸せにします。」
(ブログのどこかに書いてると思う。)
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私は思った。
星の王子さまを書いてくれるのは、何歳の私だ?
ユカリちゃんじゃない。
ユカリちゃんは、ミミズのような平仮名しか書けない。
こう言う時は、あれこれ考えず、ただ問いかければいい。
「星の王子さまを書いてくれるのは、何歳の私?」
そして、私は、それが何歳の話か思い出した。
そして、「星の王子さま」と言う言葉で、私が私に何を伝えたがっていたのかがわかった。
私は、私に、中学二年生の時に書いた読書感想文を思い出させたかったのだ。
そこに、ヒントがあったから。
星の王子さまは言った。
「大事なものはね、目には見えないんだよ。」
そして、私は、今から自分が書く小説のタイトルだけ知った。
いつか、本屋さんかamazonで見つけてくださいね。
本のタイトルは、「この世のはずれ」だと思う。
私は今、何歳の私と手を組んで、それを書けばいいのかを知った。
そこにあった目には見えなかった大事なもの。
それを書けばいいのだと知った。
そして、話の最後に、ユカリちゃんがニヤッと笑った気がした。
「ね。お菓子やったら、あんたは動くやんか?
お菓子の話やったから、一生懸命、考えたんやろ?
私ら、あんたに詳しいねん。」
そうして、たくさんのワタシが、キャキャキャキャと大笑いしている気がした。
人生は、おとぎ話のようだ。
_
そしてそれから、今、私は、私が書いた小説のプロットは、2つあるということに、気がついた。
2箇所に分かれて保存されているその話は、そもそもは、1つの話なんだと気がついた。
一つはこのブログ。
もう一つは、別のホームページ。
一つは現実(記憶と知識)、一つはファンタジー。
2つをまとめろということか?
_
「な?めんどくさいやろ?
お菓子ででもつらんと、あんた、考えてくれへんやろ?
めんどくさいの嫌いやもんな。」
小憎たらしい冷めた目をした中二のワタシが、ばかにしたように言った気がした。
ともかく、タイトルは決まった。
お菓子につられて(笑)
そして、私は、10年前から準備してきた、ということを知った。
そして、思った。
ああ、この方法はめんどくさい。
でも、私はきっとやる。
めんどくさい方法しかないからこそ、私は自分では気づかず(というか気付きたくなかったんだろう。往々にしてある)、ユカリちゃんはお菓子を持って現れたのだから。
そして、気づいちゃったから。