火打ち石
今日はお休みだったので、私の働いた全ての悪事を知っている高校時代のクラスメイトと電話した。
だいたい月一回くらい、話している。
よく三十年も話が続くと思う。
彼女は、もう二十年以上、関東地方の土地柄のいい場所に住んでいる。
たまに地域が持つ上品さと繊細さに疲れるらしく、大阪の下町のおじいの話を聞いてゲラゲラ笑うのが、何よりの息抜きらしい。
「なんで、あそこでクラスターが起きへんのや?」と私は笑った。
近所の立ち飲み屋さんの話である。
狭い店内では、毎日のように昼間から、おじいの集団がもちろんマスクなしで、片寄せあって盛り上がっている。
「免疫が強いんやで」と、友達は笑った。
私は、あれ見てたら、いろんなことがアホらしなって、ああ、今日も平和やと思うと笑った。
今日は、二人の話題の中心は、火起こしについてだった。
どちらも、自分の人生の中に、火起こしの技術が必要な時が来ると感じており、「やっぱり最後はアナログが強いでなあ」と、火打ち石を買うのか、キャンプグッズを買うのか、話していた。
そして、二人は笑った。
「あんた、生き残る気、満々やな。」と私が言うと、当たり前や!と、友達は笑った。