終わりは始まり

もうほとんど仕上がっていたデザイン仕事があった。
その仕事が始まったのは、五年近く前。

二年前に一度、完成して、その後、手直しをすることになり、そこからまた二年。
それは商品で、何度かほとんど仕上がりかけたのだが、どうにも世に出すには何かが足りない感じがし続け、発売を遅らせ続けた。

何かが何かはわからなかった。

その商品を待ってくれている人がいることは、相方さんも私も知っていたが、妥協しないということだけを最初に相方さんと決めていた。
商品はできる時に出来上がる、それでいい、そもそも遊びから始まったことだ、納得できるまでやろうということで意見は一致していた。


そして今日ついに、相方さんと「これで本当に完成だ」と納得した。
たった一言が浮かぶのを、私達は待っていたということを確認した。

たった一言、たった二文字が浮かぶまでに二年。
最後に浮かんだなんということもないその言葉は、何かのオチのようだった。

相方さんと私は、ここまで五年の間、何度も何度も打ち合わせを重ねた。
信頼と友情を育みながら。


そして、最後のピースがはまった瞬間、相方さんが言った。

さあ、次の仕事に入りましょう。


終わりはいつも始まりである。

今度は何年かかるのだろう?(笑)