ベイビーテロリスト*ミッション完了
話は一年前に遡る。
私はオレゴン州ポートランドの友人宅に二週間ばかり居候しながら、クリーンランゲージのトレーニングを受けていた。
そのトレーニング中、私のメタファー達はキラキラかわいらしく大活躍した。
そこには、愛らしく笑えるメタファーしか現れなかった。
聞いた人が楽しくなるような。
本人は、少々不気味だと感じていた。
あまりにも、潜在意識達がいい子すぎるが、これはどうしたことか?
そしてトレーニングの最後の最後の数分間、クロージングのセッションを隣の席のスコットランド人とした。
そこで現れたのが、ベイビーテロリスト。
テロリストという言葉の持つ雰囲気は、日本とアメリカやイギリス圏では異なる。
日本ではドラマくらいしかお目にかからないが、あちらは、日常にある脅威だ。
それでだろう、相手をしてくれた彼はギョッとしていた。
セッションのお題は、このトレーニングが終わるとき、あなたは何が起きればいいのか?か、このトレーニングが終わると次に何が起きる?かのどちらかだったと思う。
その質問の答えとして現れたのが、ベイビーテロリスト。
現れた大きなお尻をした赤ちゃんテロリストは、ばんばん爆弾を投げて、山を破壊した。
日本に帰っても破壊工作を続けるのだ、ただし、誰も傷つかないし、ベイビーテロリストが、テロをしてるようには誰にも見えないだろう、と私は言った。
ベイビーテロリストは、その物騒なネーミングに、ベイビーTというあだ名をトレーナーからつけられた。
がんばれ、ベイビーT、いえ〜い!という陽気な励ましでトレーニングは終わった。
さて、一年経ち。
先程、いきなり、トイレの中で、ベイビーTのことを思い出した。
現れたベイビーTは、にやりと笑った。
そして言った。
ミッションコンプリート!
ベイビーTはいっちょ前に英語しか喋らない。
英語で生まれたメタファーだからかもしれない。
ミッション完了とそれだけ言うと、ベイビーTは消えた。
トイレの中で何が終わった?
そして、私は、ベイビーTが破壊し続けたものを理解した。
ベイビーTが破壊したかったもの、それは私の中に存在したものだ。
私の中にある不自由な山みたいな要素を、ベイビーTは、私がそのメタファーを忘れた後も、静かに破壊し続けていたらしい。
わずか数分で生まれたメタファーは、一年、働き続けた。
そして、きちんと仕事を終えた。
今、私がする必要があることは、ただ一つ。
ベイビーTが消える、すると次に、「私は」何が起きればいいか?と自らに尋ねることだ。
答えはすぐに見つかった。
とても現実的なこと。
一年かかったか。。。