小さな子供達の願い

経済的な理由で進学時に何かを諦める、というのが私の家族のラインで繰り返されてきたパターン。

祖母、小学校にまともに通えず。
家が貧乏で、女の子に教育はいらない、働き手であればいいという理由で。

父母、大学に進学できず。

私、希望の学部にいけず。


今、もう数年、シングルマザーの元で育つ姪っ子は「うちは貧乏だ」と時折お金を心配する。
その度に、あんたのどこが貧乏なのだ、貧乏とは・・・と、私は貧困を解説する。
姪っ子は、貧困を見たことがない。

彼女は、お小遣いをあげても使わない。
遊びに出かけて、好きなものを買ってもいいよと言っても買わない。

一度、2人で出かけた時は、欲しいものの前でそれを30分眺めた後、「やっぱり必要ないからいらない。お金でちょうだい。」と言っていた。


最近、姪っ子は小学校を卒業した。

ぼちぼち、教育にお金がかかり始める。
彼女の成績はいい。

ここからお金かかるわね、と、私が言うと、妹が笑いながら姪っ子に言った。
「みんなに、あなたの貯金額を発表してあげたら?」

姪っ子が祖父母、叔父叔母から、もらったお小遣いを貯めに貯めた貯金は、軽く海外に短期留学くらいは行ける金額になっていた。
大学にも一年くらいならいけそうだ。

姪っ子が使っていたのは、毎月もらう決まったお小遣いだけだったらしい。
すごいのは、彼女は、お祝いごとがあると、自分の貯めたお金の中からお祝いを出しているらしいこと。
彼女は12才だ。


妹は、笑って姪っ子に言った。
「やりたいことが出てきたら、そのお金でしたらいいわ。使うために貯めるんやから。」

私は姪っ子に言った。
「Yちゃんにそれを貸してごらん。三倍にして返してあげる。」

姪っ子は言った。
「嫌だ!」

そして、ゲラゲラ笑った。
姪っ子は、悪い人にも騙されないだろう(笑)



私は、おばあちゃん、と思った。
おばあちゃんの「学校に行きたい」という願いから始まったことは、ひ孫のところで、完全に達成されるよ。

おばあちゃんは娘4人に、平等に教育を与えようと朝から晩まで働いて頑張った。
祖父はアルコール中毒だった。

父方は、父が高校生の時、祖父が職場で事故にあって障害者になり、父は進学を諦めた。
祖母は、成績のよかった父を早稲田に行かせるのが夢だったらしく、そのために、祖母も働いていた。
あの時事故がなければと、しょっちゅう言っていた。


両親は、娘2人にお金の心配はさせない。大学まで行かせると決めていた。


妹は、娘にもらうお小遣い、お年玉に一切手をつけずに、もらったお金を貯めさせた。
身内みんなに少しずつ助けてもらうという方法を彼女は使った。


小さな女の子だった祖母が「学校に行きたい」と願った思いが、教育に重きをおく流れを育んだ。


きっとこれは、日本のどこにでも転がっている話だろう。
100年前に学校に通えた子供はほんの一握りだったのだから。


たくさんのたくさんの小さな子供達の願いが、今を作っている。