私を離さないで
原題 Never let me go.
Written by Kazuo Ishiguro.
この本を先に読んだのは夫だった。
彼の感想は、さっぱり意味がわからない。
夫の母も読んで言った。
何が面白いかわからない。
それで、私は、じゃあ、多分、この本を私は好きに違いないと思い、読むことにした。
彼らは、村上春樹の書いたものを同じように評したからだ。
私は、村上春樹の本は好きで、ほとんど全部読んでいる。
夫は、読んでつまらなかった本をさっさと売ってしまうので、私はそれをもう一度自分で購入した。
目に優しいKindleで私はそれを読んだ。
眼医者さんは、あなたのは老眼ではなく弱視だと言ったが、老眼だろうが弱視だろうが、どちらにしても、視力がいいことが取り柄の私の目は、以前より文字にピントが合いにくくなっていて、文字のサイズをその時々の目のコンディションに合わせられるkindleの方が読むのが楽だ。
私のkindleは、バックライトはつかないので、ブルーライトで目が疲れることもない。
kindleが私に読書の時間を戻してくれた。
以前は一日少なくとも一冊のペースで読んでいたのだ。
子供の頃から三十代半ばまでずっと。
一晩で読み切った後、個人的には、非常に爽やかな読後感だった。
清々しい感じ。
腹をくくった人から感じるそれ。
諦めているのではなく、人生を受け入れているとでもいうのか。
達観してるとか、悟りの境地とか、なにかそういうのを主人公から感じた。
少し興味がでたので、amazonのレビューを読みにいった。
感想は割れていた。
悲しいと書いている人もいた。
私は悲しさは全く感じなかったが、まあ、そう感じる人もいるだろうなと思った。
同じ体験をしても、同じものを見ても、この場合は、同じものを読んでも、人は同じようには感じない。
自分がどう感じたかだけが意味を持つものが、世の中や人生の中にはたくさんあるけれど、読書もまたそうだなと思った。
読書も、ひとつの体験だ。