勝利

名古屋駅からバスに乗り、桜舞う遊園地で絶叫マシンに乗り倒した一日。
ヘロヘロだ。

ヘロヘロだが、絶叫マシンが私にもたらす効果が素晴らしいことに気がついた。
一気に短時間で頭を空っぽにする。
努力なしで。

帰りにまた名古屋駅に戻り、駅弁を選びながら、ああ、随分、駅弁のラインナップが変わったなと思った。

愛知万博の頃、私は仕事で大阪と名古屋の間を行ったり来たりしていた。
途中から、東京に転勤になったので、東京名古屋往復に変わった。
それでどうせならと、当時の名古屋駅の駅弁を制覇したことがあり、名古屋駅の駅弁には詳しかったのだが、今では知らないものがたくさんあった。
(駅弁ともうひとつ、買い続けたのは、鬼まんじゅうだった。こちらは結論として、覚王山の鬼まんじゅうと星ヶ丘三越の鬼まんじゅうが美味しいということになった。)


ああ、時間が流れたと感じた。


大阪に帰ってきて、ひと息ついたら、なんとなく勝利感が自分の中に広がった。

自分に勝利した感じ。


何がどうつながっているのかわからないけれど、ともかく私の中は勝ち誇った気持ちでいっぱいになった。

その勝利感は、自分が赤い海でも青い海でもなく、白い砂浜を歩くことを選んだことについてだった。

レッドオーシャン、ブルーオーシャン、ホワイトサンズ。

私は海を泳がない、白い砂浜をご機嫌に海風にあたりながら歩くと決めたこと、それが、私の勝利。

 
ひと息ついた後、家に帰ってきたら、猫が、どこ行ってたのよ!にゃあにゃあにゃあ!と鳴いた。
そして、勝利者の私は、瞬く間にしもべと変容した。