永遠の命/immortal life
私は、最近、ある哲学者が、イギリスのガーディアンに寄稿した記事を読んで、自分の中にしばらく存在していたモヤモヤがすっきりするのを感じた。
(記事は有料記事。私は最近は、記事を買う。読み応えがあるものは、有料のものに多いと気がついた。)
なるほどねえ、と。
私は、この数ヶ月、モヤモヤしていた。
「まるで、人間は死なないことになっているみたいだ。歳を取れば、人は死ぬのに」が、それだ。
人間には、寿命がある。
記事を書いた哲学者は、ここ数年で世界的ベストセラーを書いた人だ。
日本語にも翻訳されていて、私も持ってる。
彼が記事に書いていたことによれば、人間は死なないことにチャレンジし始めている。
科学の力で。
今、存在する子供たちのほとんどは、やがて歳を取って死ぬが、富裕層の子供たちのいくらかは、その恩恵を受けるかもしれない。
キリストの再臨を待たずして、永遠の命を手に入れる子供たちが、何人かはいるだろう。
彼はそう書いていた。
なるほどね、と、私は納得した。
それなら理解できると思った。
それから、我が身を振り返ってみた。
私は、早ければ7才で死んでいた可能性がある。
妹は5才。
妹が、住んでいた場所で流行っていたウイルス性の病気にかかったからだ。
妹は抗生物質、私はワクチンをお尻に打った。
父と母も打った。
医療がなければ、私達家族、少なくとも妹はそこで死んだ。
それから、私は12才の時に、虫垂炎になった。
手術しなければ、腹膜炎で死んだ。
父は、10年ちょっと前に、癌になった。
その1年前にできた薬がなければ、彼はもういない。
母は、10年前に胆石になった。
手術しなければ、腹膜炎になって死んだ。
医療がなければ、私の実家の家族は、もう今この世にいない。
世界の人の平均寿命は、この200年で40才から75才くらいまで延びた。
医療の力だ。
そして、それから、哲学者は人の感情を分析していた。
ペストやスペイン風邪が流行った時、人々を支配した感情は、諦めだった。
今、人々を支配する感情は、怒りと希望だ。
人々は、諦めていない。
なるほどねえ、と、また私は思った。
それから、残念ながら、私は、その時まで生きてはいないと思うが、永遠の命を手に入れ、死の恐怖から解き放たれた人類は、何を考えはじめるのだろう?と、思った。
興味深々だ。
そしてそれから、思った。
ああ、それが、私が知りたかったことだと。
私は、何人かのクリスチャンの人に質問したことがある。
「キリストが再臨するところで、聖書は終わっているけれど、キリストが再臨した後には何が起きますか?それは、どこに書いてありますか?」
「永遠の命を手に入れた後の話は、どこに書いてありますか?」
聖書には、永遠の魂とは書いていない。immortal soulはギリシャ哲学で、聖書が言っているのは、immortal lifeだ。
科学と聖書は、リンクしていないようで、リンクしている。
それは敵対するものではなく、その預言書が数千年に渡り、刷り込んだ概念、つまり神の意思が反映されている世界が、もしかしたら、科学の世界かもねえと、私は思った。
永遠の命か。
ちょっと生まれてくるのが、早かったな。笑