ある霊能者のぼやき
私の友人の仕事は様々だが、ある友人は、霊能者だ。
霊がいるかいないかはちょっとおいておくけれども、そういう仕事の人もいる。
多様性を受け入れるということで今はおいておこう。
本題が違うから。
彼女は表にそれを出すことをものすごく嫌い、口コミだけで仕事をしている。
似たような人を彼女以外にも知っているが、みな口コミでしか仕事をしないので、そういうものなのかもしれない。
私は、表に出せばいいのにと言ってみたが、今時ださい、都会的なイメージがしない、いかにも怪しいという理由で嫌なのらしい。
まあわからんでもない。
彼女の見た目は普通の人だ。
感覚も普通の人で、仕事はできるからやってるだけらしい。
何をしてるのか人に聞かれた時は、毎回違うことを彼女は答えているようだ。
ほんとに答えるのがめんどくさい時、彼女は独身だが、主婦と答えるらしい。
彼女いわく、電話オペレーターも主婦も霊能者も同じことなのらしい。
表に出ないということと、仕事のクオリティが他者からわかりにくいということ、自分ができることをそれぞれやっているだけだという意味で。
先日、彼女とお茶を飲んでいた時に彼女がぼやいていた。
「浮遊霊を怖がる人は多いけど、自分が浮遊霊になるのは誰も怖がらへん。
霊自体は、ほっておいても大したことない。
そもそも、生きてる人に、霊が原因でなんかあるときは、霊が悪いんじゃなくて生きてる人になんか原因があんねん。
どうしようもない時はやるけど、だいたいは、普通のことで解決できるよ。
それより、自分が浮遊霊になる、私、そっちの方がずっと怖いわ。
みんな、もうちょっとそっちを気にした方がいいと思う。
でも、それは聞かれたことないねん。」
どんな人が浮遊霊になるん?と私は尋ねた。
彼女は、悔いが残った人生と言った。
悔いを残した他人のことより、自分の人生に悔いが残らんようにすることを気にした方がいいはずやけど、それは聞かれたことないねん、と。
それから、彼女は言った。
「Yちゃんのセッションの方の仕事は、だから、未来の浮遊霊を作らへんための仕事やから、私と一緒ね〜。」
そして2人で大笑いした。
よほど愚痴がたまっていたらしく、この日の彼女はよく話した。
「守護霊はいますか?とかも、もう聞かんといてほしいわ。
だいたいやる気ないねん、そういうこと聞く人の守護霊。
自分ががんばらんと守護霊頼みな人の守護霊はやっぱりやる気ないねん。
でも、霊能者、サービス業みたいなもんやから、そうは言われへんから、むっちゃめんどくさい。
霊はしょせん霊やのにさ。
おまけやおまけ。」
私は爆笑した。
彼女いわく、世界で一番いらん仕事が自分の仕事なのらしい。
未来でなくなればいい仕事ナンバー1らしい。
みんなが悔いのない人生を送ればすむ話だからと。
いい人生ちゃうで、悔いのない人生やねん。
よくなくてもいいねん、やりきれれば、で、自分が納得できてればと彼女はよく言っている。
自己受容?と聞いてみたが、そんなややこしいことちゃう、もっと普通で簡単なことと言っていた。
*この日記はフィクションです