早起きは三文の徳
昨夜、夫がホームシックになったと急に帰ってきた。
それで、今朝早く、私は自転車でコインランドリーに布団を洗濯しに出かけた。
秋晴れとはこのことという爽やかな朝で、気持ちいい風が吹いていた。
いつも朝は独特の空気感がある。
人がまだほとんど歩いてない時間。
それで、私は思いだした。
結婚するまでは、毎朝、朝の空気を吸いに散歩にでていたこと。
朝6時くらいに起きて、散歩に出かけ、パン屋さんに寄ってメロンパンと卵サンド、牛乳を買い、バラ園がきれいな公園まで歩いて行った。
その公園の中には小さな丘があり、私は丘のてっぺんにある石に座って、ほとんど毎朝、朝ごはんを食べた。
私は何もあげないけれど、のんきな鳩が寄ってきて、石の隣に座ってみたり、周りで羽を広げて日向ぼっこしたりしていた。
私は特に鳩が好きなわけでもなく、ただ、危機感がなさすぎるんじゃないか?と笑った。
当時、ほとんど休みはなかったから、ほぼ一年中、朝はそんな感じだった。
しばらくして、丘の空気がとてもきれいで公園の中でそこだけ空気感が違うのと、なぜそう広くもない公園に丘があるのか、その存在を不思議に感じた私は、公園のことをインターネットで調べた。
そしてその丘は古墳だということを知った。
当時、私は、私が育った家から自転車で15分くらいのところに、ひとりで職場と兼用の家を借りて住んでいた。
インターネットで調べたその時、私は、自分は小さな古墳だらけの昔から人が住んでいた地域で育ったことを知った。
毎朝、古墳のてっぺんで朝ごはんを食べてたと、私は少し笑った。
なんとも贅沢な朝ごはんだ。
その朝ごはんから始まる一日は、夜遅くても10時には終わりを告げていた。
早めに晩ご飯を食べたら、もう9時には眠くなっていたからだ。
ここは今でも変わらないが、私は布団の中で、漫才やお笑いを見て、眠った。
そんなだったので、私は結婚した後しばらくの間、調子を崩した。
夫は、夜中近くに帰ってきて、早朝家を出ていく生活をしていたからだ。
彼は、ショートスリーパーで、睡眠時間はさほど必要ない人だ。
それから、私たちの住まいは、散歩したくなる雰囲気ではない街並みの中にあった。
やがて私たちは寝室を分けた。
それでもやはり、私は少ししんどかった。
夫は何も言わないが、生活リズムが違うからだ。
今年、私はひとり暮らしだ。
夫には悪いが、ぶっちゃけかなり快適だ。
私はそもそも、ひとり好きだ。
そして今朝、夫は帰ってきているけれど、夫の布団を洗いに行ったおかげで、自分のリズムがそこにあることを感じた。
そうか、朝の散歩か、と、私は思った。
それから、そうか、歩くのではなくて、自転車で散歩すればいいと気がついた。
自転車で10分、そうすれば、ほとんど大阪湾の広い河川敷が広がっている。
朝はそこからはじめたらいい。
朝ごはんを持って。
そしてそれから、私は、来年、夫が帰ってくる頃には、元通りではなく、違う生活が待っているのかもしれないと、ふっと思った。
朝、自転車に乗って洗濯しに出かけただけで、なんともたくさんの思考の広がりだ。
やはり、早起きは三文の徳なのである。
晴れてればね。