スキンケアのはなし

 

もう随分前の話になる。


デパートに化粧品を買いに行って、メイクしてもらっていた時に、そこの店員のお兄さんが、私の眉毛を描いてくれながら言った。


「僕が言っちゃいけないんだけど、化粧品は医療には勝てません。高い基礎化粧品にお金をつぎこむなら、その分を貯金しておいてね、60歳くらいになったら、一度、顔の皮を剥いでもらったらいいですよ。一気にベイビースキンに戻れる。」


私は笑った。


お兄さんは、「いや、ほんとにね。」と言った。

そして、シミはレーザーで消せる、しわは注射で埋められると続けて言った。


あなたの肌は丈夫だから、保湿と、それから目の下はコストが高いですから、目の下だけしっかり手入れして、60歳になったら医者へ行けと、お兄さんは笑いながら言った。


以後、私は、プチプラコスメ派へ変わった。

10年くらい前。

主に韓国のものを選ぶ。

美肌のみなさんが多い国。

説得力があるから。


私の美容コストは安い。

本人は、睡眠が一番の美容だと思っていて、睡眠時間の確保には、全勢力を注いでいる。

11年前に会社を辞めたら、それまであったシミが消え始めたからだ。


会社員だった私とそれ以降の私の暮らしに生まれた最大の違いは、睡眠時間だった。



さて。

時折、私のもとには、化粧品が向こうからやってくる。

それらは、値段が高い。

友人、知人、家族からもらう。

サンプルだったり、自分に合わなかったりするとくれる。

私の肌が強いのを知っている人たちが。

加えて、妹の友人に美容ライターがいて、ファンデーションなどは、妹経由で、その人から配給されるものを使っている。


そんな感じで最近やってきた美容液がある。

友人が取り扱い始めて、使ってみて欲しいと渡されたそれは、もはや医薬品だった。

ヒト幹細胞や、ハーブやなんやかんや、箱にずらりと並んだ成分。



これは、もしかしたら、肌を剥がなくて済むんじゃないか?と、私は思った。