私の婚活*2

最初にしたことは、今、自分もそれをアレンジしたものをセッションやワークショップで使っている、結婚相手の条件を書き出すことだった。

知人に書けと言われて、それを書くことになった私は、最初の条件で早くも止まった。

「私、別にこだわりはない」と私は言った。

実際、私の男性のストライクゾーンは広い。
関わった男性は年齢もバラバラなら、見た目もバラバラ、仕事もバラバラ、性格もまるで違う。
日本人とも限らない。
経済状態もバラバラ。

友人には、あなたの恋愛は異性愛ではなく、人間愛と言われていた。
私はそれまで、条件で人を見たことがほとんどなかった。

みな人間だ。
いいところも悪いところもある。


知人は言った。
「じゃあ、80歳のおじいさんでもいいわけ?すぐ死ぬけど。」

それを聞いた私は、「そりゃ困ります」と言った。

知人は「それなら、何歳から何歳までならいいの?」と尋ねた。
「今から書くのは、こんな人なら結婚してあげてもいいと、あなたが思う人のリストよ。何歳なら結婚してあげてもいいの?」


そして、私は考えて、ようやく私のリストの最初の一行が決まった。
年齢は、自分の上下10歳以内。


そして私はまたすぐ止まった。
私の恋愛は、出会いがあって、それから相手と関わり、そして好きになるパターンばかりだった。
私は、「こういう相手」と条件をはっきりさせて、相手を探したことがなかった。
あえて言うなら、自分に合う人というのはあったが、それは付き合ってみなければわからないので、「どういう人」が自分に合うのかを真剣に考えたことがなかった。

婚活をする人としては、よくなかったのは、私には、次から次に、相手が現れていたことだ。
考えなくても私の人生には、男性との出会いはいくらでもあったので、出会った人について考えればよく、「まだそこにいない人」について考えてみる必要がなかった。


私は「まだそこにない物」「まだそこにない出来事」については、考えることがあったけれど、「まだそこにいない人」については考えたことはなかった。


..........


私が見てきた限り、私と同じような人達は、割といる。
そして、出会っていても、それが結婚につながらないことが割にあるのも知っている。

婚活は、そこまでの人生で、男性との出会いが多かった人が有利ということでもない。
出会いが多い人たちは、必死さにかけ、次があると、タカをくくる。

ある辺りの年齢を過ぎると、ほとんどの人の「自然な出会い」は一気に減る。

私は、自分がそうなる前に、「結婚しなさい」とやかましく言い、未来を考えなさいと、私に結婚相手について考えさせた人たちには感謝している。

36歳の私は特に必要とはしていなかったが、私には、家族が必要だったからだ。

...........

知人はまた質問してくれた。

そうやって、二時間半かけて、私はリストを仕上げた。
こんな人はこの世にはいないだろうと思われるリストが出来上がった。


知人は言った。
「あなたがいるだけでいい、あなたのことが大好きな人を見つけないといけないね。」


なんて、高いハードルと私は思った。
いる?そんな人?


そして、やがて、私は、リストのことを忘れた。


忘れていいのだ。
リストは頭で覚えておく必要はない。
自分の中の矛盾を解決し、本当に必要なことを確かめられればそれでいい。
そして、潜在意識が覚えていれば、それでいい。



夫と結婚することになった後、私は引っ越しのために部屋を掃除していて、リストを見つけた。

眺めたリストに書かれていた条件の九割に、夫は当てはまっていた。


私は、不思議に思った。
これだけ当てはまっていたなら、夫が登場した時に、もう少し、ドキドキしてもよかったものを。

私は、夫に何も感じなかった。
こんなに何も感じない人は珍しいというくらい、何も感じなかった。

それまで、私は、しょっちゅう、これは運命だ!というような出会いをしていたので、夫は相手ではないと思ったほどだ。


そして、そういえばと私は思った。
もうひとりだけ、三十代の私が結婚を考えた相手がいたが、その人が登場した時も、私は何も感じなかった。

私の人生において、結婚相手になりそうな人は、するっと自然に、私の人生に入り込んでくる人なのかもしれない。

違和感なく。


ともかくそのリストを見て、私は、私の結婚は、自分の思い通りの理想の相手との結婚だということを理解した。

それは、普通のおじさん。
当時、仕事がうまくいかず、舌打ちばかりしていた暗い人だ。

私は「まず、舌打ちを治す。暗いのもなんとかする。それから、それから」と、頭の中で、結婚後に自分がやることリストを作った。


以下は、婚活中の人、特に一度も結婚したことがない人がよくつまづくポイントだ。
また、自分自身が変わるのがあまり得意でない人も、少し注意した方がいい。


人は変わる。
人間関係次第でいくらでも変わる。


結婚相手と自分の関係性は、結婚する時点で完成されてはいない。
今から始まるものだ。

結婚相手を見る時は、「変わらないもの」を中心に見た方がいい。
ほとんどの場合、それはものすごく小さなことだ。
変わる可能性があるものは、後から変えられる。
家の中では性格が変わる人もいる。

自分もまた、変わる可能性がある。
ぶっちゃけ、結婚してみなければ、わからないことの方が多い。


......


今、私は、クライアントさんとこのワークを時たまするが、ほとんどの場合は、リストに修正を入れてもらう。

矛盾した条件、必要ないこだわり、結婚とは関係ない条件、その人自身の問題が、相手への条件に混じりこんでいることが多いからだ。