生まれてくるのが早すぎた

生まれてくるのが早すぎた。


遺伝的に受け継がれるものは、様々だが、私に関しては、このフレーズもそうだろう。

母もよく言っていた。
祖母もよく言っていた。


そして、今、私もたまに思う。

今、中学生だったなら、
今、大学生だったなら、
今、社会人をスタートさせるなら、

私は、もっと長い時間が持てたのに、とたまに感じる。
今からの方が、面白いのに、と。


若さが欲しいわけではなく、今の時代の方が、自分が育った時代より自分には合うような気がするからだ。

ドライな時代。
女性と男性の差はあるけれど、差は縮まりつつある時代。
女性らしさから解放されつつある時代。
感情と同時に、理性が働いている時代。
インターネットがある時代。
多様性を社会が受け入れ始めている時代。
自分で考えなければ置いていかれる時代。

2020年から変わるという教育要領はうらやましくて仕方ない。
自分で考えなさい、表現しなさい、の世界。


姪っ子を見ていても、学習環境が非常に豊かになっていること、学習の選択肢が増えていること、うらやましいなと思う。
教科書が面白くなっている。


母と祖母は、結婚する時に、仕事を続けることを諦めた。
それは当時、割と普通のことで、公務員以外は、産休、育休などなかった時代だ。
母に至っては、会計事務所で働きながら、自力で夜間の大学の経済学部まで出ていたから、割とキャリア志向だったと推測される。

うらやましい、と母はよく言った。
生活のためでなく、女性が働くことを許容する社会があることが。


父方の祖母もよく言った。
祖母は、高等学校に行きたかった。
しかし、祖母の家は農家で、女に学問はいらないという父親の方針で、行けなかった。
自分よりできの悪い男兄弟が進学して、自分は行けなかったことを、祖母はおばあちゃんになっても言った。


なにしろ、私より上の、私に近い身内の女性は、女性の教育に対する執着が強かった。
私と妹は、その恩恵は受けた。
本人たちが、対してありがたがらず、私に至っては、勉強している姿を見たことがないと親はいい、かなり歯がゆかったようではある。


私は、女性だから、とは考えず、私がうらやましいのは男女問わないもの。


少しずつ、内容は違うが、ともかくみな、自分より後の世代がうらやましい。

しかし、それは、裏がえせば、生きている間に、時代が良くなっていると判断しているということで、昔は良かったと過ぎ去ったものを握りしめるよりはいいのか、、、とも思う。


そういえば、昔は良かった、とは、身内は誰も言わない。
今がいい、とみな言う。

私も、今がいい、と思うので、前しかみないのもまた、もしかしたら遺伝なのかもしれない。
または、刷り込みかもな。。。