アイドル




「ありゃあ、あんた、どうかね」と言って、血は繋がってない叔父が、私のほっぺたを両手のひらでぐちゃぐちゃと撫でた。

ぐちゃぐちゃにされながら、ただいま、と、まもなく46歳になる私は言った。

私は、両方の祖父母の初孫で、母方の三人いる叔母と、その叔母の夫である叔父たちに、大層可愛がられた。
さらに、そこに、自分とどういう関係なのかは把握できないが、なんとかのおばちゃんという名前の人が、他に数人いた。
加えて、そこに、祖父母の家の近所に住むなんとかのおばちゃんも数人いた。


幼稚園に入る前、父がスペインに単身赴任していた時期があり、母と妹と三人、祖父母の家で暮らした時期が一年くらいあり、私一人だけで滞在した時期も数ヶ月あるから、ここの地域に住む母方の親戚と私は親しい。

そして、私は、過去、みんなのアイドルだった。
私が笑えばみなが喜び、私が何か言えばみなが笑う。

そんなわけで、彼らから私は、永遠に5歳の扱いである。


私は、年長者と仲良くなるのが早く、割と遠慮ない口を聞くが、それはおそらく、人生の初期を、実にたくさんの大人達に可愛がられて育ったことと無関係ではない。


今回は、二年ぶりにやってきたが、歓迎のされ方が激しいので、ああ、みんな歳を取ったなあ、と思った。

最初の叔父は、中身が四歳児みたいな人だが、私に「あんたは顔が変わらんなあ」と言った。
叔母は「この子は見た目が若いのよ」と言った。

叔父は、あんた、いくつになったかね?と私に尋ね、私の歳を聞いてびっくりしていた。
叔父の息子、私の従弟の年齢と、私はいつでも4つ違いだが、叔父は私が大人であることに毎回驚く。


さて。
過去のアイドルは、今回、過去とは違う意味で、自分の笑顔の価値を感じた。

今、少しだけ疲れている。
一日中、笑い続けていたからだ。

私が笑えば、みんなが笑う。
笑うのをやめたら終わりだ、と、私は思った。

私の笑顔には価値がある、と、今日、私は思った。


自分の価値をいちいち考えるのはめんどくさいので、普段、あまり考えないが、今日は感じた。
そして、どんどん笑え、と自分に思った。
無理してでも笑え。

価値あるものならば、みんなに分ける必要がある。

笑え、と思った。


ま、ほとんどの場合は、本当に面白くて笑ってるだけなのだが、文字にすると、大層な感じになるな。


とりあえず、私は今でも、ここではアイドルである。