2:言語。相手の世界観を尊重する。

やがて、試す機会が訪れた。

セッションをいきなり大阪弁ではじめたら、それは少し奇異な印象を与えたに違いないが、日常の悩み相談ならば、それは可能だ。

しかし、世界観に関わる悩み相談は、あまり日常には登場しない。

だが!チャンスはやってきた。
求めよ、さらば、与えられん、だ。
求めれば手に入る。


というわけで、私は、世界観に関わる悩みを抱く人との会話を与えられた。
普段ならば、この類の話は、相手が友人でもセッションに回す。
催眠(トランス)を使う方が効果が早いからだ。

トランスなしでやってみよう、と、私は思った。
関西弁で。

セッションではないから、たまたまの機会、しかも相手がそれについて話す時にやるしかない。
私は、これまでの経験から、その世界観の変容は、動き始めるまでに1年かかると推測した。
現実に落とし込めるまでに3年。


ところがだ。
その人と2回話しただけの1ヵ月後、その人は動き始めた。
3ヵ月後、世界観の根本を構築する要素に手が届きはじめた。


私は正直驚いた。
違ったことはひとつだけ。

私が関西弁を話して、関西弁のリズムを崩さなかったことだけだ。

つづく。