鬼退治

ああ、大人になってしもうた、と、今更ながら感じた。

鬼滅の刃のせいで。


私が今、小学生なら、間違いなく小さな私は家の中でゆかたを着て、棒を振り回して、なんとかの剣!とか、全集中!とか叫んだりして、親に嫌な顔をされていたに違いない。

妹と、どちらが鬼をやるかでもめたに違いない。

毎日、鬼退治に励んだことであろう。

剣道を習わせろ!と騒いだかもしれない。


流行っていたので、とりあえず、アニメと漫画に手を伸ばした私は、自分は無理だと、ドロップアウトした。

殺しと血が多かったからだ。


ワンピースかドラゴンボールまでにして欲しい、と、私は思った。

血が少ないから。



さても、二十年後、鬼滅の刃が、鬼退治体験が、潜在意識にすりこまれた人々が大人になる。

彼らは、何をやっつけてくれるだろう?


それは、少し楽しみではあるが、おばちゃんはドロップアウト。


また別の目線では、日本人は温和でよかったことと思った。

たまったストレス解消に、暴動やデモではなく、じゃんじゃん鬼を殺す映画が流行。

素晴らしい。


私は、そないにストレスも溜まってないので、何より、血が恐ろしいので、ドロップアウト。


ちびっこ達に、鬼退治はまかせよう。

桃太郎の時代から、鬼退治は、子供の専売特許である。