晩夏
無性に思い出す。
29歳からの2年間。
まさにあれは青春だった。
体力的にも精神的にもきつかったので、戻りたくはないが楽しかった。
今でもその日々は、私の中でキラキラしている。
その頃私は、同じ年頃の仕事仲間がたくさんいる環境で働いていた。
会社はそれぞれ。
立場もそれぞれ。
休憩場所が同じだった。
休憩室。
朝早く夜遅かったので、職場近くに住んでいる人も多く、仕事帰りにラーメンやか居酒屋にいくと誰かいた。
私はその中の1人と仲良くなり、家も近かったので、週4日は彼女と遅い夜ごはんを一緒に食べた。
だいたい23時くらいから。
その日のありえない話を、ぎゃあぎゃあわめき、大笑いしながら。
あり得ないことが沢山あったのだ。
若かったし。
苦楽を共にした彼女は、今でも親友だ。
その年のクリスマスイブは、仕事終わり、人の幸せには貢献するが自分は予定のないかわいそうな人達で朝までカラオケしていた。
楽しかった。
一緒に仕事をしていたのは20歳そこそこのスタッフだった。
私は彼らが可愛くて仕方なかった。
よくミスしてくれたので、怒り倒してはいたが、仕事の合間に、彼らとふざけて遊ぶ一瞬が好きだった。
そのうちの1人と昨日用事で話して、彼が39歳だと聞いて、驚いた。
すっかりおっさんである。
彼は、私の外面と身内に見せる顔の違いを知る男だ。
私は変わりませんねと言われた。
そうね〜と思った。
そして、朝、目の前を見た。
今日も、やっぱり、キラキラしていた。
青春ではないけれど。
違う季節の中にいる。
いつか今日を思い出す時、私は、キラキラを感じるだろう。
今苦しいことはない。
でも、何も起きていないわけでも、ストレスやプレッシャーを感じないわけでもない。
心配ごとが全くないわけでもない。
悩みがないわけでもない。
でも、やっぱり今日もキラキラしている。
今は、晩夏という気がする。
実る少し前。
人生の中の美しい季節は、いつでも存在するのだろう。