夏の日の大冒険

英語でメールやりとりが、昨年くらいから少しずつ発生している。

私は、その時、いつも、小学2年生のある夏の私の大冒険を思い出す。
スクールバスの中で眠ってしまい、起きたら、自分と運転手さんしかいなかったあの日。
私は小さくて、椅子の陰に隠れてしまっていたのだ。

運転手さんはメキシコ人。
バスは、知らない場所を走っていた。

私は、運転手さんのところに行って、ディスクルペ(すみません)と言った。
運転手さんはびっくりしていた。

運転手さんは何か言い、意味はわからなかったけれど、家を聞かれたと思った私は、カセドラル、カセドラル!と一生懸命言った。
家の前には、大聖堂があったのだ。

カセドラル、カセドラル!私はそれだけを一生懸命言い、運転手さんはわかったというようなことを言って、バスをUターンした。

それから数十分、私は、運転手さんの横に立ったままでいた。
心細かったのだ。

やがて、バスはいつもの場所までついた。

グラシャス!と言って、バスを降りると、母が心配そうな顔で立っていた。
近所の子供が帰ってきているのに、私だけ帰ってこなかったからだ。

言葉は聞き取れても、話せないことが多かった。
相手が言うことは、状況から判断するしかないことが多々あった。
自分が言いたいこと、伝えたいことを伝えるためのボキャブラリーが圧倒的に不足していた。


それでも、私は、家にたどり着いた。
違う言葉を話す人の助けを得て。


それを、思い出す。
アウトカムがはっきりしていれば、なんとかなるのだと。