グラフィックデザイナーが使えるクリーンな質問

 今日のは練習みたいな日記。

そのうち、よそに書きますがね、ここで練習します。


ドラフトを公開。


私がグラフィックデザインの仕事の打ち合わせで使っているクリーンな質問をご紹介。

特に、大きな会社で、営業は他の人がやっているというわけではない、フリーの方におすすめかもしれません。



少し世間話をして、そして、打ち合わせの最初。


「それで、この〇〇(依頼物)を作ることでXさん(クライアントの名前)は何が起きればいいですか?


これを尋ねると、100%、相手は嬉しそうな顔をして、「そうですねえ」とか言いながら考えはじめたり、しゃべり始めたりします。


ここで、私が何を確認しているかというと、ニーズです。


私が作成を請け負っているのは、チラシ、リーフレット、名刺、ホームページ(コードがいらない程度の)です。


それらを作る理由は、単に、集客や売り上げを上げるためだけではないということを、私は、この10年ちょいで学習しました。

特に依頼者が個人の場合、これは顕著です。


そうなると、いわば、作成物は、もうほとんど、クリーンランゲージ&シンボリック・モデリングでいうところのメタファー・ランドスケープ(その人の内側にある世界観を象徴した目では見えない世界)を目で見える形にするみたいなもんです。


私は、ほとんど、セッションの仕事と同じのりで、グラフィックデザインの仕事をしています。ものを作るだけでなく、そのものを作る作業を通じて、その人が物以外の何かも手に入れられるようにというのが、私の仕事の根底にあります。

いわば、私の作成物は、その媒介をします。

言葉ではなく、目で見える無音の何か、です。


さて、打ち合わせの最初にこの質問をしておくだけで、かなりの情報が引き出せます。

それは確実に、デザインの役に立ちます。


何しろですね、デザインには正解がありませんのでね。

人生と似たようなもんです。



次の質問。


もし、「そうですね、もう少し集客が増えたらいいな」というシンプルな答えが返ってきたら。


「どれくらいですか?」と尋ねます。


完璧なクリーンな質問であれば

「そして、そのもう少しは、どれくらい(もう少し)ですか?」となりますが、日常では、これは珍妙なので使えません。

少しカジュアルダウンして使います。


ここで、デザインの方向性が少し見えます。

万人受けする当たり障りがないものがいいのか、そうではないのか。



または、「かわいいのが欲しいんですよね」という言葉が登場したら!


おそらくは、全てのグラフィックデザイナーを苦しめている、この「かわいい」!


かわいいこそ、世界観のかたまりです。

他に、かっこいい、素敵、などが続きます。

モダン、クールも危険です。

人によって理解が違うからです。


色味も危険です。

青、と、ひとことでも、青は無数にございます。


しかし、私は、もう困らない!し、苦しまない!


なぜなら、私には、「そのかわいいについて、他に何かありますか?」または、「そのかわいいは、どんなかわいいですか?」という質問があるからです。


そして、相手の言葉に、「なるほど。他には?」とあいづちを打ちながら、さらに細かい情報を引き出します。


その人が好きな世界観を尋ねていますので、これを嫌がるクライアントはいません。


.......


ちなみに、私のクライアントは、関西の方がほとんどなので、このやりとりは、ほとんどイントネーションが関西弁です。

時には、質問そのものも、関西弁です。


私、母が標準語でしか話さない人のため、そして、三年ほど、標準語の学校に通っておりましたため、標準語も問題なく話せますが、「相手の世界観に合わせる」ため、相手のイントネーションに合わせて、自分のイントネーションを変えます。


これは、どこの地方の方が仕事相手でも同じです。

最初に耳を澄ませているのは、相手の言葉のイントネーション(発音)です。


なぜか。


信頼関係を作るためです。

専門用語で、これをラポールと言います。


.......


また「今のデザインは、なんとかでね」とか、「実はなんとかでね」と、現在お困りの内容が登場することがあります。

なんとか、が、問題です。


そういう時は、「そのなんとかに、何が起きればいいですか?」と尋ねます。


問題解決方法を、こちらが考えるのではなく、「相手の希望する解決方法」でするためです。

または、望みやニーズを引っ張りだすためです。


............


そして、打ち合わせの最後に、話をまとめて、こう尋ねます。

「こんな感じで理解していますが、(その日聞いたことの確認)、他に何かありますか?」


自分はこう理解したけど合ってる?

まだ、何か言い忘れていることはありませんか?を言葉を変えて尋ねています。


話(情報)をまとめて整理することを、専門用語で、リキャップといいます。

こうなって、こうなって、ああなって、こうという感じですね。

互いの理解に違いはありませんね〜?と確認します。


ここで、理解に違いがあれば、「いや、そこはこうで」などと、クライアントさんが教えてくれます。

自分でこうだろう!と思い込んで仕事をすると、グラフィックデザインは特に、仕事がはっきり目で見えますから、後で痛い目にあいます。


「前にお願いしていたデザイナーさんは、ちっとも話を聞いてくれなくて、勝手に作られた」というお話は、ちょいちょい耳にします。

おそらくは、そのデザイナーさんも、話はちゃんと聞いていたはずなのです。


ただ、「自分の理解」と同じ理解を相手も持っていると「思い込んじゃった」だけなんではないかなと推測しています。


認識にずれがあっただけという。



そして、最後のこのパートで、重要な言い忘れが登場することは、実際にチラチラあります。

後から聞いたら、「先に言ってくれよ〜」と言いたくなるようなことも含まれていることがあるので、これは、特に初めて仕事をする相手の場合は、必ず尋ねます。


クライアントさんが「言ったつもり」になっていること、そして、クライアントさんにとっては「当たり前だから言わなくてもわかるだろう」ということもたくさんありますが、そういう情報の方が、実際、重要なことというのもたくさんあるような気がします。



話をちゃんと聞けること(多分聞いてるけど、相手が、こちらがちゃんと話を聞いてるとわかること)、クライアントさんの「言葉の世界観」を最初の打ち合わせで探っておくこと、は、顧客満足と、その後の作業の進捗や仕事のやりやすさに大きく影響する感じがします。



元々は、デザインが好きで、グラフィックデザインを始めた方がほとんどだと思いますが、クライアントさんが求めているのは、必ずしも、デザインそのものではないという場合もあるので、打ち合わせのクオリティは仕事を左右するかな・・・と思います。


大きな会社だと営業さんがこの部分を担当するのでしょうが、フリーの方はも多いので、ちょっと書いてみました。



.............



本日、ご紹介した質問のまとめ。


「(前の話の流れからそのまま続ける場合)それで、〇〇さんは、X(依頼物)を作ることで、何が起きればいいのでしょう?」


「どれくらいですか?」


「その<形容詞>について、他に何かありますか?」

「その<形容詞>は、どんな<形容詞>ですか?」


「他には?」(これは、「他に何かありますか?」を崩したものです。)


「そのX(困っていること)に、何が起きればいいですか(いいのでしょう)?」


「(自分の理解をまとめた後)、他に何かありますか?」




グラフィックデザイナーが使える質問はまだまだありますが、(多分、ほとんどの質問が、普通に日常で使える稀有な職業)、今日はここまで。