ついてる運がいい人

 

昨日、歩いてなら30分、自転車なら18分、電動自転車でなら10分のところに、電動自転車で向かっていた。

仕事だった。


途中には勾配のある橋のかかった川がある。


自転車のバッテリーは十分、充電してあった。


ところが、出発して2分。

バッテリーの電源が入らなくなった。

バッテリー切れした電動自転車は、足の鎖みたいなもの。

重い!


加圧トレーニングにはよろしいよ。



橋はまだ先だ。

昨日は風がきつい日だった。


「行くのやめよかな」と、私はすぐ思った。

休んだところで、大した弊害はないだろう。

橋を思うとうんざりした。


ただ、仕事先の人は、私が来るのを、とても楽しみにしてくれている。

この話も楽しんで聴いてくれるだろうと思った。


それで、私は、自転車に乗るのをやめて、押して歩いていくことにした。

私は、頭の中で、いかに話せば、この話は面白いかを練りながら歩いた。


辛さを味合わねば話にならないので、足や風や寒さや、そういうのを味わおうとしている自分に気がついた。


着いた後、私の話をケラケラ笑いながら聞いてもらい、私はいたく満足した。

自分の経験が誰かを笑顔にしたなら、上出来だ。



数時間後、仕事先を辞して、今から、またあの鉄の塊を引っ張って30分歩くのか〜と思いながら、自転車置き場へと向かう途中で、なんとなくスマホを見た。


珍しい人から着信があったので、かけ直してみた。


用事はないが暇だったと言う相手に、これ幸いと、私は、今から30分、私の話相手をしてくれと言った。


そして、ついてない話をけたけた笑いながらし、相手もその日同じくらいついてない感じだったので、その話をケタケタ笑いながら歩いた。


途中、川の上を歩いている頃、相手が、「風の音しかしない。うるさい」と笑った。


きゃきゃきゃと笑いながら歩いていたら、あっという間に家についた。

助けていただきまして、どうもありがとう。


そして私は、まあとりあえず、まるっとまとめて、なんか楽しかったからよしとしようと思った。

明日足は筋肉痛かもしれないが。



それから気持ちを入れ替えて、さて、バッテリーを手配しなくちゃと通販で手配しようとしたら、メーカー欠品で12月まで納品できないと表示されていた。


まじで?!と一瞬思ったが、ためしにオークションサイトにいったら、1個だけ、未使用品が出品されていた。

即決価格は、定価より10000円以上安かった。


二、三日で届くらしい。

ラッキー!と、私は思った。



なんかよくわからないけど、これは、運がよかったんだなと思った。


明日だったら、バッテリーが手に入らなかったかもしれない。

もう少し、めんどくさいことになっただろう。


これは起きるしかない出来事が、一番、被害が少ない状態で起きたパターンだなと思った。


結論としては、ついてる!で、まとめてみることにした。



まるっとまとめて、私はついてる、と、自分に言い聞かせた。


ついてるついてない、運がいい悪いに、事実は関係ないもん。


ついてたことと、運がよかったことだけピックアップすれば、この世の全員、ついてる運がいい人になれる。


ついてない運が悪い人は、ついていて運がいいことを忘れてるだけ。



忘れちゃうから、やがて、脳みそが、ああ、ついてて運がいいのは好きじゃないんだなと認識し、ついてなくて運が悪いことをピックアップして記憶に残す。


記憶は意識を作るから、どんどん現実がそっちによる。


ただ、ついてること、運がいいことのそばには、必ず、他人がいる。

他人に感謝できるかできないかの違いだとも思う。



誰でも、ついてる運がいい人になるのは、簡単だ。