この命の終わるまで

私はよく覚えている。
却下した夢を抱えたのと同じ時期、私は自分の血を呪った。

親戚の中は、揉め事ばかりだった。
我が家も例外ではなかった。

なんじゃ、こりゃ、と私は思った。
こんな血はいらない。
憎んだと言ってもいい。

血を呪った、それはようするに、自分の存在も全否定だ。


長い長い時間が過ぎた。

つい最近、私は、ふと思った。
脈々と私の血の中を受け継がれてきたものは、愛だと。

過去を生きた誰もが、少しずつ少しずつ、努力した。
ひとりの人生ではやり遂げられなかったこともあったかもしれない。
でも、誰もが、少しずつ、長い時間をかけて努力して、そして、ついに、私や両親、妹は、問題のない家族を手に入れた。

過去を生きた誰もが見たかったに違いない景色を、手に入れた。

それが可能になったのは、過去を生きた誰もに愛があったからだ、と私は思った。

ありがとう、と思った。


その瞬間、私は母と一緒にいた。
母が、私と妹の未来のために準備していることを知って、言葉を失っていた。

母が、自分が亡き後も、私たち2人のその命が終わるまで、私たち2人を守り通そうとしていることを知った。

そして、次の瞬間、何かが流れていったのを感じた。
過去の時間に、するすると柔らかな何かが流れたような不思議な感覚だった。



次の日、朝目覚めた瞬間、私は思った。

呪いが解けた。



ディズニー映画のお約束でもある。
呪いは、いつでも、愛で解ける。


今から私が生きるのは、呪いが解けた後の世界だ。
そこに待っているものは、果てしなく続く日常だ。

この命の終わるまで。