フレーム

フレームワーク。
枠組みにはめ込んで作業すること。
思考法などでよく使われる手法。

フレームの形のいくつかと、それらの手法の効果は知っているけれど、この度、デッサンの本のおかげで、私はようやくフレームワークそのものの意味を理解した。

なるほど〜、これがフレームワークの力だ、と。

描く絵についたフレーム、枠、のおかげで。
フレームの果たす役割を理解した。

この本は、すごくいい本だ、と思った。
ひとりで地味にデッサンのワークをこなすごとに、新しい視野が生まれる。

デッサンと思考を組み合わせてある。
この本は1週間くらいのワークショップの価値はあり、これで2500円とは驚きの安さだ。

しかも、日本語訳が美しい。
この類の本によくあるカクカクした翻訳ではなくて、非常になめらか。
この翻訳者の人はすごいと思った。


さて、フレームワーク。

本の中に、自分の問題を鉛筆1本で描く、という課題があった。
何かはっきりわかるシンボルは描いてはいけないという条件つきだ。
左脳は動かさない、右脳だけを使うために、描いたものを言葉で解釈せずにただ描く。

このワークは、同じテーマで、何回かやり方を変えて繰り返される。
その時、覚えていくものの見方、線の描き方を加えながら。

いつも同じなのは、描く前に、フレームを先に描くことだ。
この、フレームを描く作業が、私に、フレームワークの意味を、ほんとの意味で初めて理解させた。


何回めかの問題を描くワークは、15枚の紙に連続して問題を描いていくワークだった。
情報を収集するのだ。
それぞれにかける時間は1分。
タイマーで測る。
深く考えている時間はない。
手を動かさせねばならない。

4枚めまで、私は大きさが違う四角形をフレームに使っていた。
途中で、フレームを三角形に変えた。

そして、三角形で考えると、すごくごちゃごちゃすることに気がついた。
半分で考えちゃダメだ、と私は思った。

そして、もう一度、四角形にフレームを戻した。
そして、違う、フレームが四角形だから変化が起きない。
フレームそのものに問題がある、と思った。


次に私の手は、楕円形のフレームを描き、丸いフレームを描き、人型のフレームを描き、最後にハート型のフレームを描いた。

フレームの形が丸みを帯びると、それまで大した変化を見せなかった問題は、変容しはじめた。
この場合は、描いていて、形が変わっているので本当に変容だ。

そして、私は、問題が2つのパートからできていることを理解した。
それから、ものを考える枠組みを変える必要があることを理解した。
四角形は、私にはルールを意味することがある。

どうやら、ルール、が動く邪魔をしているようだ、、、と私は気づいた。
ちなみに、ただ絵を描いていただけなのに、私は、ちゃんと、そのルールがいつ生まれたものか、そして、そのルールのどこが問題なのかという情報は集めていた。


形ってすごいわ、枠ってすごいわ、フレームってすごいわ、と思った。

なるほど、フレームワークはこれを言葉でやっているのか、、、と。
たしかに、枠には物の見方を変える力がある、と私は納得した。

絵を描いたあとに、もう一度絵を見て、今度は言葉をつけていく作業をして、ワークは完了だ。


ワークが終わった後、しかし、この本の中では、私は望みを聞いてもらってはいない。
そう、ふと、私は思った。

では、これを、この問題は何が起きればいいのか?に質問を置き換えて、描いてみたらどうだろう?

問題はすでにあぶり出されている。


本を最後まで読んだらやってみよう、と私は思った。

今は、日に日に上手に描けるようになる絵が楽しく、その本と過ごす30-40分がまず先だ。


できるようになっていく感覚と共に向き合う、問題との創造的な取り組みは、楽しい。
そうなればもう問題は問題ではなく、ただ、解決法という謎を持つミステリーだ。
好奇心を非常に刺激する人生のスパイス。


またこの本の日本語訳が素晴らしいので、それも楽しみのひとつ。
左脳が生み出す言葉の力もまた偉大だ。


本はこれ。