なぜ、日本を選んだか

ノーベル賞を受賞した米国籍の日本人科学者の受賞コメントから。


その中の、なぜ、米国籍を選んだかという部分を読んでいて、私は、十数年前に、友人男性とした会話を思い出した。

私は、まだ30歳だった。


その時、居酒屋のカウンターで、彼と2人並んでしゃべっていた。

私が、「自分は日本には合わない。自分のようなタイプが少ないから、大学を卒業したらアメリカに行こうかなと考えてたこともある」と言ったら、彼も言った。


「僕も考えたことがあるよ。」


私たち2人は考え方のタイプが似ていた。


「アメリカなら、もっと伸び伸び生きられるような気がした。」と私は言った。


彼も、わかると言った。


けれど、2人共、日本で生きることを選んだ。

なぜそうしたかには、2人とも理由があった。

そして、理由が同じだったことで、大笑いになった。


私は、「私は日本でなら少数派だけど、アメリカなら多分、普通の人。私の能力に飛び抜けたものはないから、だったら、自分の物の考え方は、日本でならば、アドバンテージになるって、私は考えた」と言った。


彼も笑って言った。

「僕も同じだよ、少ない方が有利だと思った。」


2人は大笑いして、それから、チューハイのグラスをがちんと合わせて、「かんぱ〜い!」と言った。



なんとなく、その夜のことを思い出した。



ちなみに、今は、日本は私にとても合っていると思っている。


まだ、自分は、相変わらず少数派のような気もするけれど、仲間は着実に増えている感じがする。


今は、私は、それが、楽しい。

生きる居心地悪さは感じていない。



ただし、20年後、どこにいるかはわからないとは思っている。

アフリカに近いから、一年の半分くらいはヨーロッパとかにいるかもしれない。