過去を振り切る瞬間

 昨日の続きみたいな感じ。

好きなものをまた見つけた。

私は、誰かが過去を振り切るその瞬間を見るのが好きだ。


その瞬間、その人は、今を真っ直ぐに見つめる。

過去が理由の今でなく、今の自分がいる今。


理由も言い訳も何もない、ただ純粋な今。

今、感じていること、今、望むこと、今、起きて欲しいこと。


過去の自分が望み、手に入っていないものではなく、今、この瞬間、望むこと。

傷つき苦しんだ過去の自分ではなく、今、つらい自分がいること。


過去を振り切り、今に全てを集約して、今を引き受けて、そして、話はそこからが本番なのだ。


その瞬間のその人は、これは誰でも、何か凛としていてかっこいい。

私はそのかっこよさが好きなのだと思う。

崇高さすら感じる。



今からしか何も始められない。

タイムマシーンはまだ存在しないから、人の体は、今にしかいないから。


何を思ったとしても、それは過去ではなく、未来でもなく、ぶっちゃけ今だ。

過去を思う今。

未来を思う今。


そして、今感じる今。


過去や幻影を振り切り、思いと体が同じ場所にある時、パチリと何か音がするみたいな感じがするような気がする。

そのパチリという音がするみたいな感じも、私は好きなのだと思う。


その瞬間変わる人の表情を見るのも。

すごく綺麗だから。



そして、なんだ、セッションの仕事には、好きな要素がたくさん詰まっているねえと、今更ながら、私は気がついた。


好きだからやりたいから始めたわけではない仕事に(この場合、コンビニより時給がいいという理由で始めた。私は25歳で一度挫折して以降、仕事に希望は抱くが夢を見ない)好きが存在するのはよくある話だが、始めてしまえば改めて何が好きかを一々確認はしない。


仕事そのものを考え続けたこの数ヶ月は、なんだかとてもいい時間だったような気がした。


過去を振り切る瞬間の人を見るのが好きだなんて、気がついてなかったもんな。