ストレスと私と胃

 

一昨年の夏、ストレスだ!とはっきりわかるストレスを抱えた私は胃を壊した。

最初は市販の胃薬を飲んでいたが、効かなくなったので、病院で胃カメラを飲んだ。

診断がついて、薬をもらった。


ただしお医者さんは言った。

理由がはっきりしてるなら、これは薬では治りませんよ。

薬で痛みは取れる。

けれど、根本的な理由がはっきりしてるなら、それは医学では治せません。

あなたの胃を治せるのは、医学ではないですね。


そして、お医者さんはケタケタ笑い、私は苦笑いした。


その後、魔法みたいなスピードで、私の体から痛みは消えた。


三ヶ月薬を飲んだ後、一度薬をやめてみたら、まだ痛みがあった。

それで私は薬を飲み続けた。


私のストレスの原因は、非常に現実的な状況だったので、私は現実的にそれを取り去る努力をした。


そこから一年ちょっと、私は最近まで薬を飲んでいた。

痛みがとんでもなかったので、薬をやめてまたその痛みを味わうのが怖かったからだ。



ところが、数週間前、健康診断で、私の体に別の異変が起きていることがわかった。

再検査を受け、いろいろあり、そして、あるお医者さんが言った。


「これは、あなたが飲んでいる薬の副作用の可能性があります。」


薬には副作用はないと聞いていた。

しかしそのお医者さんは、長期利用には副作用が出る場合があると言い、薬を変えましょうと言った。


その前に、一度、しばらく薬を止めてみなさいと。

治っている可能性があるからと。


そして、もしも薬が原因なら、私の体は半年くらいで元に戻ると言った。



そして、私はおそるおそる薬を止めた。


やめた一日目、痛みが出た。

私は言われたとおりに、痛み止めだけを飲んだ。


二日目、あれ?と私は思った。

痛みが薄れている気がしたのだ。

私は痛み止めだけ、また飲んだ。


そして四日目、あれ?と私はまた思った。

胃が痛くなかったからだ。


その日、私は、一年半ぶりに胃薬を飲まなかった。

食欲が出た。


私はもともと食は細いが、この一年半は、本当に食欲がなかった。

お医者さんは、それも薬の可能性があると言っていた。



どうも痛みを抑えるために、本当はもう治っているのに薬を使っていたために、さまざまな別の弊害が生まれていたようだった。


そして、痛みすら、本当はもう消えていたのに、薬を飲んでいたために痛みが出る状態が存在したようだった。



私は、呪いがとけたみたいに軽くなった体で、体と心は同じだなと思った。


人が、本当はすでに癒えている心の傷を、まだ癒えていないと思いこみ、癒しに明け暮れる時、さまざまな弊害が生まれるのは知っていたからだ。



ともあれ、私の胃は健康を取り戻し、私の気分もすっきりした。

そして、過去に存在したストレスの原因を忘れることにした。

それは再現性がないストレスだったからだ。

今後同じことが発生する見込みはない。


めでたし、めでたし。