自転車の仕組み

自分がテキストを作るために、頭の中でした思考を少し。


クリーンランゲージやシンボリック・モデリングを学ぶとき、何がわからないのか、何を理解するのが難しいのかを、私は理解する必要があるからです。


私自身は、難しいと感じたことがないため、私は他者をモデリングする必要がありました。

「なんでよ?」とか「どういうこと?」という疑問は溢れ返っていますが、それらの思いは、私に好奇心しかもたらさなかったため、私は難しいとは感じませんでした。


私はできのいい生徒ではありませんでした。

英語力もあいまって、ジェームズが、ふん、と私を鼻で笑った回数はもうたくさん。

しかも彼は、考える手伝いはしてくれても、答えは教えてくれない。

けれど、私は、くそ〜と悔しがりながら、それでもいつでも楽しかったのです。

いつでも温かいものを感じていたから。


単に、個性の違いといえばそこまでですが、難しいものを理解するのは難しいです。

難しくないように説明する工夫が、教える側に必要です。

つまり、私は工夫をする必要があります。


ただ学ぶ楽しさやリラックスに満ちた3日間の裏側に、楽しいだけではない仕掛けを仕込んでおく必要があります。


....



シンボリック・モデリングで習う内容のうち、プロセスややり方に関わる部分は、「自転車の補助輪」です。


それは、サドルやハンドル、ブレーキやペダルなど、自転車が自転車として成立するための「基本構造」とは異なります。


私が10年モデリングした結果、何が補助輪で、何が基本構造なのかを理解できていないファシリテーターが非常に多いです。

そして、それがファシリテーションを難しくしているというように感じることがあります。


基本構造にあたる部分は、理解し記憶しておく必要があります。

ブレーキの効かない自転車は危険そのものだからです。



特にこれを感じるのは、PROモデルの理解についてです。

そこに大きな誤解がある、と、私は感じています。


基本構造と補助輪の違いが理解できていれば、アウトカム志向は基本構造で、PROモデルは補助輪だとわかります。

基本構造を表す図に、PROモデルは登場しないのが、その証拠です。


アウトカム志向でいるのが難しいファシリテーターのために、PROモデルは生み出されたのです。

問題ばかりを発展させ、クリーンランゲージを使ってクライアントを泣かせ傷つけるファシリテーターが半分はいたという事実から、そのモデルは生まれたのです。

クライアントにアウトカム志向を押し付けるものではありません。

クライアントは、どんな考え方をしようが自由です。

また、ファシリテーターが普段、いち個人としてどのような考え方をしようが自由です。

ご本人は問題志向で、ファシリテーションが超絶うまいファシリテーターを、私は実際に知っています。


シンボリック・モデリングは、技法として、アウトカム志向、というだけのことです。

ファシリテーションする時に、クリーンなスタンス以外のいかなる考え方や在り方も、個人としてのファシリテーターには要求していません。

何を感じるか、そんなものは、本人の自由です。


むしろ私は、ぶっちゃけ、私にできた人になることを要求せず、技術者としての腕をひたすら磨かせてくれるので、シンボリック・モデリングが好きなのです。

私のままの私でいさせてくれるから。


また、どこに焦点をあててクライアントの言葉を拾うか?は、技法や使用目的により異なります。

シンボリック・モデリングは、PROモデルの存在のおかげで、ひとつの技法の中で、状況に合わせたプロセスが生み出せる珍しい技法です。


自転車の乗り方を知らない人でも、それなりに自転車に乗れるような補助輪つきの自転車。

それが、最初に習うことです。


このとき、補助輪を、自転車の基本構造として覚えてしまい、誤解することが多そうだというのもまた、私のこの10年のモデリング結果です。



さて、どうやれば、補助輪を基本構造と見間違えないように、しっかり基本構造を3日間で理解できるようにするか?

技術そのものは、練習しないとうまくなりませんから3日でマスターするのは無理です。


しかし、その後の練習を助けることができる考え方の基本は伝えておきたい。

自転車に乗るのには基本構造を理解しなくても乗れるようになります。


日常でママチャリに乗るなら、基本構造は、ハンドル、ブレーキ、ペダル、サドルの機能くらいがわかれば問題ないでしょう。それを知らなくても乗れますね。


けれど、ロードバイクを乗りこなし、遠くまで行きたいなら?


決まった道はないオフロードを、自由に走ってみたいなら?



初心者向けワークショップには、いずれの人もやってまいります。

さまざまな望みが交差する、それが、イントロダクションというもの。


ということは?



...少し、テキストの方向性が見えてきたような気がしました。


うん、書けそうな気がする、と思いました。