モデリングとトライアログ|MODELLING&TORIALOGUE

今日のお題はモデリング。

一般的に、「モデリング」というと、「誰かが成功しているやり方を観察して真似すること」という定義で理解されていることが多いように思います。
実際、技法やプロセスによって、「モデリング」の定義は少しずつ異なるようです。

そして、シンボリック・モデリングはNLP(神経言語プログラミング)の影響を大きく受けています。
シンボリック・モデリング自体、クリーンランゲージの創始者デイビッド・グローブをNLPのモデリングのプロセスを使用してモデリングしたことから生まれました。

けれど、言葉についてはNLPとは定義がちょいちょい異なることがあり、モデリングについても意味が違います。

おそらくそれで、NLPや他のコーチングプロセスをすでに知っている方が、シンボリック・モデリングやクリーンランゲージについて書かれた物を読んだときに、時折、混乱することがあるようなです。

実際にあったエピソードとして・・・私のある友人が、10年ほど前、クリーンランゲージが日本に入ってきた時に、「クリーンランゲージ」について唯一日本語翻訳されて出版された本を購入して読もうとしました。

当時、彼女と会うたびに、私がクリーンランゲージの話しかしなかったからです。

彼女は、会社員ですが、NLPのマスター・プラクティショナーでもありました。
けれど、彼女は途中で「意味がわからん」と本を読むのをやめました。
そして、私にその本をくれました。

今、私の手元にあるその本は、彼女からもらったものです。
この10年間、何かお守りのようにずっと手元に置き続けてきました(笑)
「彼女がわかるようにクリーンランゲージを説明するには?」と想像するのも、私の頭の整理を助けてくれ続けました。

さて、余談はほどほどに・・・。


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「モデリング」

シンボリック・モデリングを構成している主な構成要素3つのうちの1つです。ファシリテーターは最初から最後まで、それをし続けます。

さて、シンボリック・モデリングでは、どういう定義で「モデリング」という言葉を使っているのでしょうか?

シンボリック・モデリングでいうモデリング」は、誰かが、何かのシステム(作りや仕組みや機能、パターンなど)を観察して、システム活動の情報収集をし、それが機能する方法をまとめた「説明書を作る」=「モデルを構築する」プロセスのことです。

モデリングする人のことをモデラーと言います。 シンボリック・モデリングのファシリテーターは、シンボリック・モデラー。
この技法を考案したジェームズやペニーは、ファシリテーターとは言わずに、「シンボリック・モデラー」という言い方をすることがちょいちょいあります。


続きまして、一般的なモデリングとの違いです。 ここ、大きいです。

一般的には、「モデリング」は、誰かが、誰かのモデリングをする一対一の関係性です。
それに対して、シンボリック・モデリングでは、ファシリテーターもクライアントもどちらもがモデリングします。モデリングする人が2人います。
ファシリテーターとクライアントでは、対象とするシステムを観察する方法は異なりますが、どちらも同じものを観察しています。 何を観察している(モデリングしている)のでしょう?

メタファー・ランドスケープです。
このファシリテーター、クライアント、メタファー・ランドスケープの関係を「トライアログ」(三者対話)と言います。

シンボリック・モデリングを学習中の方が、今日、何かこの記事の中からお持ち帰りいただくならば、この単語。 「トライアログ(三者対話)」をぜひ。

これについては、すごく大事なので、また詳しく書くかもしれないし、話すかもしれないし。学習中の方は、おそらくは、感覚としてはよくご存知のことです。


ではなんで、モデリングを使うのか?・・・と言いますと、モデリングして構築されたモデルは、「意思決定したり、行動したりするのに役立てることができる」からです。


シンボリック・モデリングは、メタファー以外の日常的な言葉や状況の中にあるシステムもモデリングできます。 実際のセッションでは、現実の状況とメタファー・ランドスケープを含めた、「まるッと世界」をモデリングしていることも多々あります。 けれど、最初は、メタファー・ランドスケープのモデリングができるようになることから練習を始めます。

なぜかっていうと…一番普段やらないことだから!です。


参考文献:Metaphors in Mind, James Lawley&Penny Tompkins, p.22-26