「知覚者」についての翻訳練習シリーズ (3)

 知覚者」についての翻訳練習シリーズ (2)

Metaphor in Mind(James Lawley &Penny Tompkins)より抜粋

*英語原文は、本を購入してご確認ください。


5:A Symbolic Perception   P.122より

(Chapter 6   Stage 2: Developing Symbolic Perceptions)


知覚は、一つの単位として扱われる思考、感情、行動一式です。


言い方をかえれば、経験は中断されるものです。

そして、特定の出来事(または複数の出来事)、瞬間(または期間)、場所(または複数の場所)、シンボル(またはシンボルの集合)がゲシュタルトとして現れます。


クライアントは、問題、解決法、望んでいる結果、原因や影響などを含む知覚/認識の流れとともにやってきますが、それを分けて区別できていることはほとんどありません。この流れを緩やかになると、クライアントの象徴的な知覚は、識別され、分離され、分解されて、それぞれの知覚が、十分「形」として発展できる時間、そこに注意を向けることができるのです。


クライアントは、自分の象徴的な知覚の出現を、どうやって知るのでしょうか?

クライアントの物理的な目や想像上の目で見て、耳で聴き、肌で感じ、体で記憶することからです。


私たちのクライアントの一人が、初めてシンボリック・モデリングでのセルフ・モデリングを体験した時のことをこのように語ってくれました。


「実体がない状態だったものを言語化しようしていて気づいたんですが、私は、心の中の経験を、確かに「見て」「感じて」いたということでした。私が語れば語るほど、また、調べれば調べるほど、それは現実味を帯びていきました。この強烈に感情的な時間に体験した全てを言葉に置き換えようとすること、人に伝えられる概念にしようとすることに苦戦はしましたが、自分の意識の中で実際にイメージが形作られていました。

自分が感じられるイメージ、もしくは私が見ることができる感情、そのどちらだったのかはわかりません。」


シンボルが現れるためには、知覚的な空間に、シンボルが居場所を得る必要があります。この空間は、象徴的な出来事が起きる中に存在する劇場のような働きをします。知覚的な空間には、以下のようなものが組み合わさっています。


*クライアントを取り巻く物理的環境


*クライアントの体の表面、または、内側


*今、ここに作用している想像上の空間(クライアントの身体の内面、及び/もしくは、体の外側にある)


*あらゆる時空にある想像上の場所


クライアントは、これらの空間を、象徴的な情報を表現するもうひとつの手段、もしくは両立できる手段として体験します。すると、クライアントは、自分を取り巻くものや言葉、思考、記憶、感情、感覚、そういったものの一部または全てが、「自分が何者であるか」、そして、「どのような人生を歩んでいるか」を構成しているパターンの象徴であることに気づくのです。 


クライアントが応答するときに、象徴的な知覚は誕生します。まるで、メタファー(で表現されていること)が、クライアントの周囲や体の内側で、実際に起きているかのように。


自分のシンボルが動いたり、大きさを変えたり、爆発したり、柔らかくなったり、釈放されたりする体験をする時、クライアントは、自分が空想上で表現したものに反応します。


つまり、クライアントの目は、象徴的な空間に向けられ、体は想像上の出来事を演じるのです。手や足、頭は、シンボルがある場所を指し示します。


顔の表情は変わり、肌の色も変わります。こういうことが登場すると、クライアントは不意打ちを食らったようになり、はっきりした理由もないままに起きている物事に対する気づきを伝えてきます。

 


象徴的な知覚は、ひとまとまりの全体として知覚されますが、以下のような部分(パーツ)で構成されています。


*(知覚されたか何らかの)内容


*(その内容が存在する範囲における)文脈


知覚者…知覚点、知覚するものの内容と文脈を知覚する理由がある。


知覚者と被知覚者(知覚される側)は、別々のことが多いでしょう。しかし、個々に独立して機能することもできなければ、文脈から外れて機能することもできません。内容と文脈、知覚者の組み合わせの妙で、クライアントは複数の知覚を見分け、識別することができます。



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