知能レベルが関係しない

ドラフトかな?


 知能レベルが関係しない。


私が、クリーンランゲージはいいなと思う一つの理由はこれです。

これは、使う側ではなく、質問をされる側の人にとって。


日本ではまだ、その分野に紹介されてはいませんが、イギリスでは、幼稚園の子供たち、学級崩壊した小学校でも、クリーンランゲージは使われています。


2冊ほど、Amazonリンクを貼っておきます。

Clean Language in the Classroom (English Edition)


Contempt to Curiosity: Creating the Conditions for Groups to Collaborate Using Clean Language & Systemic Modelling™ (English Edition)
 



おそらくは、技法で使うものが、「その人が好きなもの」なおかつ「持っているもの」だからではないかと思います。


私は一度、当時四歳だった姪っ子の話を聞くのにクリーンランゲージを使ったことがあります。

その子の話がわけがわからない、いったい誰の話をしているのか?と、その子の祖母である夫の母が、話を聞くのに苦労していたからです。


誰かわからなかった人の名前を、仮にチエちゃんと名づけます。


姪っ子ちゃんには、チエちゃんというお友達がいて、その子とは近所のスーパーで会ったりするらしかったのですが、大人は誰もチエちゃんに会ったことがなかったのです。


そして、その時、私と姪っ子ちゃんが絵を一緒に描いて遊んでいると、(姪っ子ちゃんの絵は、大人をびびらせるには十分な黒い絵でした)、また、チエちゃんが登場しました。


それで私は、チエちゃんについて質問してみました。


最初の一問で、チエちゃんが何者であるかが明らかになりました。


「ねえ、それで、チエちゃんはどこにおるん?」と私が尋ねると、姪っ子ちゃんが言ったのです。


「チエちゃんは、どこにでもいんねん。今もおんで(いるよ)。」


そばにいた夫の母は、ね!わけがわからないでしょ?と言う顔で、私の方に笑いかけました。


その部屋の中には、見知らぬ女の子はいなかったからです。


私は、頭の中で、ああ、チエちゃんは、イマジナリーフレンド(空想上の友達)だなと、あたりをつけました。


チエちゃんの話をする姪っ子ちゃんの顔が輝いていたので、私はそのまま、チエちゃんについて、質問を続けました。


「チエちゃんについて、他になんかある?」


「そしたら、次は何が起きるん?」


「チエちゃんは、何が起きたらいいん?」


姪っ子ちゃんは、嬉々として語り続けました。


そして、やがて、姪っ子ちゃんは言いました。


「チエちゃんはな、わたしの中におるねん。」


私は、「だからいつもいるんや」と言いました。


「うん!」と、姪っ子ちゃんはとても嬉しそうに言いました。



それから、私は、絵について尋ねました。

私は二十代の頃に、少しだけ、絵画分析を習ったことがあり、姪っ子ちゃんの描いた絵は、「だいぶ問題あり」に分類される絵だったからです。


その知識がなくとも、紙いっぱいに黒が塗られた絵は、ん〜?と見る大人は考えこむだろう様子でした。


姪っ子ちゃんの祖母は、それも心配していました。

この子の描く絵の色使いは子供らしくないと。


私は、さらりと聞きました。

「ねえ、この黒色は、どんな黒なん?」


すると姪っ子ちゃんは、言いました。


「ママのお洋服の色。かっこいいやろ?」


姪っ子ちゃんのママは、モノトーンが好きなお洒落な人で、黒い服を着ていることが多いのです。


「そうなんや〜、かっこいいんや」と私は言い、姪っ子ちゃんは得意そうな顔で、「うん。ママ、かっこいいねん」ともう一度、言いました。



後から私は、姪っ子ちゃんの祖母に、「心配ないですよ」と言いました。


黒は、姪っ子ちゃんにとっては、リソースの色だったからです。

「かっこいいママの服の色。」


大好きな色。


子供らしい色なんて、ないのかもしれないなあと、私は思いました。



小さな子供も答えられる質問。

それから、認知症の私の祖母も答えられた質問。

知能レベル関係なし。


好きなものと、持っているものの量には差があれど、全く持っていない人はいないはずで、だから、私はそこに目をつけた、クリーンな質問は優しいなと思うのです。