この世のはずれ

私が過去に好んで書いていたはなしがあります。
この世のはずれという場所で繰り広げられるものがたりです。

ある時、私は気づきました。

あれは、私のメタファーランドスケープだ、、、と。
まるで自分が、自分が書いたものがたりを辿っているような気分になることが何度もあったからです。

その話を書いている時、私はいつでも、ぼ〜っとした状態で、ストーリーのほとんどは、次は?と思って浮かぶことを、そのまま転記していただけでした。
質問をすると浮かぶ誰かのおしゃべりや、浮かぶ風景をそのまま書いていただけでした。

それらのものがたりを、さっぱりわからないという人もいれば、とても面白いという感想をもらうこともありました。


そして、ここ数年、この世のはずれは、私にコンタクトをしてこなくなりました。


最近、ある作家さんの個展で、一枚の絵に出会いました。
たくさんの作品があったのですが、写真は、私が一番気に入った絵です。
それを伝えると、作家さんも、今回の中ではこの絵が一番好きなのだと言いました。




その絵を見た時、この世のはずれの扉が、ふわっと開いたのを感じました。

一緒にいた夫にも、ね!ね!この世のはずれでしょ?と言いましたが、なんのこっちゃという顔をしていました。
もっともな反応です。

頭がファンタジーの妻と暮らす時、妻の機嫌をとるためにわかったような顔をして、話を合わしてはいけません。


それはともかく。

インスピレーションをくれた絵を見て、私は、絵を描いてもらえないかと作家さんに頼みました。
自分の文章に、絵を描いてもらえませんか?と。


そして、この世のはずれが、静かに扉を開けるのを感じたのでした。
私が見た世界を、色にできる人を見つけた喜びと一緒に。