好きなものの力

自分にとって魔法の場所があります。
落ち込んだりすると、おしゃれをしてひとりでそこに行きます。
子供の頃からいきつけの馴染みの場所です。
家からそこへは15分あれば着きます。

人に話せるレベルの落ち込みは、人に話して笑いますが、大人が抱えることは、人に話してもどうにもならないこともあります。
話すと孤独が深まる類のものもあります。


そういう時、ぶらぶらそこを歩いていると、だんだん気持ちが落ち着きます。
そして、何かが「欲しくなってきたら」、もう大丈夫だと判断して、財布が風邪をひかないうちにそこから立ち去ります。

そして、本屋さんに行って、本を一冊買って帰ります。
生まれた物欲を、大好きなものに変えます。
本はいつでもリソースです。
本を買うという行為もリソースです。


私にとっての魔法の場所は、大阪の真ん中にあるとある百貨店です。

どの百貨店でもいいというわけではなくて、その百貨店でないといけません。
そして、ぶらぶらするのは、靴と鞄の売り場でなければいけません。
他の売り場は私には効果がありません。


落ちこんだ時は、心を使わないで非常にイージーに立ち直れる方法を使います。
心だけでそれをしようとすると、とても疲れるからです。
気力がわけばいいのであって、その方法自体は高尚なものを使おうが、物欲の力を使おうが、なんでも同じです。

とにかく元気になればいいだけだから。

私は靴と鞄が好きです。
特に、丁寧にデザインされ、たくさんの人の手にかかり丁寧に作り上げられ、丁寧に美術品のように飾られたそれらを見るのが好きです。


自分が好きなものだらけの場所をプラプラ歩くことで、目から入ってくるそれらが、自分を、今に引き留めます。

そして、新しく生まれる物欲が、私に気力をもたらします。


そのあと買った本を持ってカフェに入って、お茶とケーキを食べます。
カフェも、お茶も、ケーキも、リソースです。


人生に存在するリソースで、自分の外側にあり、ひとりで行え、非常に簡単に手に入るもので、周囲を埋め尽くす、それが、私が落ちこんだ時の対処法です。


自分でなんとかしようとはしない、という方法をもう長い間取り続けています。

私はできた人ではなく、また、どこまでも落ちていくことができます。
落ちたところで、また上がってくればいいだけの話ですが、そこから這い上がるのは、かなり疲れることは知っています。


疲れるのは、、、いや〜。


というわけで、おしゃれをして百貨店にいく、という方法を使います。
ちなみに、私はおしゃれするのも好きです。

安い方法ですが、こういう方法は、その人にとって簡単であれば簡単であるほどよくて、また、その人のそれまでの日常の中に存在しているものを使う方がハードルが低いと思います。


日頃の日常の中に、リソースをつまり、好きなもの、好きなこと、好きな行動、をどれくらい集めておけるかは、立ち直りの速さには関係するかもしれません。