リソースワークの復習:シンボル、メタファー
少しメタファーとシンボルとリソースワークの話を。
そのうち、どこか別のところに書くと思いますが、本日のところはこちらに。
このブログの中では、いつもは、話がややこしくなるので、比喩的な発言はほぼメタファーという単語で統一していますが、今日は、メタファーとシンボルを使い分けて書きます。
一つ前に書いたリハビリ中のファシリテーターが発展させてくれた私のシンボル、「マグマ」は、元々は、別の言葉から発生したメタファーです。
「青春」になる前は、「SMAP」という単語でした。
その時、練習でしたのはリソースワークという「その人が価値を認めていたり、便利だったり、好むもの」に取り組むワークです。
これは、初心者の人が真っ先に習うことが多いフレームワーク(行うことにテンプレートがある、枠にはめたワーク)です。
練習でリソースワークをする目的は・・・
- いつもとは違う言葉の聞き方に慣れる
- クリーンな質問を覚える
- メタファーやシンボルの発展のさせ方を覚える
こんな感じのことです。
そして、リソースワークは楽しいので、「使うのを楽しむこと」を体感として覚えていくこともできます。この「使うのが楽しい」や「効果があるのを目でしっかり体験として見ること」は、クリーンランゲージやシンボリック・モデリングを、その人のリソースとして使っていくためには、非常に重要なポイントだと、私は思います。
とりあえず、上手になんて絶対にできないので(できるなら、トレーニングも練習もいらない)、まずは、楽しめるところからスタートが大事かなと、私は思います。
それで、まず、失敗しないフレームワークから、練習を始めるわけですね。
練習は、ファシリテーターとクライアントの両方をやるので、自分のリソースも育てられますしね。
リソースワークは、クライアント側にとっては、問題のない自分が好きな世界観を広げたり、その人の強みや長所を育む作業です。
これやると、なんか元気になることが多いです。
練習でリソースワークばっかりやっていると、「なんて、自分は素晴らしい人なのかしら〜」と思えて、みんなHAPPYでいいことだらけというような感じすらします(笑)
初心者さんでも失敗が少ない、なおかつ、クライアント役をする人の役にも立つという理由で、まず練習には、これを使うことが多いです。
使うリソースも、練習では、ほとんどの人が元型的に持っているだろうというリストの中に載っている単語から選んでもらうことが多いです。それは、安全のため。
メタファーやシンボルはパワフルですから、世界は動くし、人生も動く。
それが、他者から提供されたものではなく、自分の中から生み出された、完全に自分とリンクしているメタファーやシンボルなら尚更です。
この「完全に自分(の体や心、記憶や体験)とリンクしている」と私が表現したものは、専門用語では、「身体化されている」と書かれていることが多いです。
日本語だと「身についた」とか「体で覚えた」とか「心と体と結びついている」とか、似たような感覚を表す言葉はたくさんあります。
例によって、元の言葉は英語なので、少しずつ「身体化」に理解は人によって違うのだろうと思います。英語のままでも、抽象的なメタファーっぽい表現です。Embodied.
その「身体化」がどのような「身体化」なのかは、それぞれが、メタファーやシンボルを使っていく中で、それこそ体の感覚で理解していくものなのだろうと思います。
その第一歩の取り組みとして、それこそ、身体化させやすい「その人の中にあるはずのリソース」がリスト一覧になっているものを、シンボリック・モデリングのトレーニングの最初では習うことが多いです。
陽気、優しさ、思いやり、強さ、遊び心、希望、誠実とかまあそういう一般的なもので、体感しやすいものですね。
さて、話をメタファーとシンボルに移しましょう。
リソースワークの中で、クリーンな質問をいくつか使っているうちに、言葉は・・・
SMAP・・・・現実のSMAP
<質問例>「そのSMAPについて他に何かありますか?」
「そのSMAPはどんなSMAPですか?」
↓
青春・・・・抽象概念(形がない言葉)
<質問例>
「その青春はどんな青春ですか?」
「その青春はどこにありますか?」
「その青春について、他に何かありますか?」
「その青春は、(例えていうと)何のよう?」
↓
「トランポリンの上で妖精が青い空に向かってぴょんぴょん跳ねている」
と変化しました。
この言葉は、メタファーです。
「トランポリンの上で妖精が青い空に向かってぴょんぴょん跳ねている」文章全体がメタファー。
さあ、いよいよ、メタファーの世界の話に入ります。
クリーンランゲージでは、メタファーは文章全体を指します。
たくさんのメタファー(たくさんの比喩的な文章)が集まって、表現される世界が、メタファー・ランドスケープです。
そして、メタファーの中に、シンボルはあります。
やり方にはいろいろありますが、最初に覚えておく必要があるのは、シンボルの発展のさせ方です。
というわけで、まずは、シンボルを発見する必要があります。
これはいわば、上演する劇のテーマ(抽象概念、この場合は青春)だけ決まっているけれど、まだ、空っぽの舞台上(心の中の世界:メタファー・ランドスケープ)に、椅子(シンボル)を置き、ドア(シンボル)を作り、草原(シンボル)を作りと舞台を作り込んでいくような作業です。
どんなメタファー・ランドスケープも、最初は空っぽです。
すでにあるものを確認しているのではありません。
そこに無いものを、あるものに作っていく作業が、発展させる作業です。
メタファー・ランドスケープは、その時、その瞬間、生まれています。
クライアントは、舞台監督でもあり、脚本家でもあり、主演俳優でもあり、小道具でもあり、観客でもあります。
ファシリテーターは、舞台上に声だけ届けて、その舞台が生み出され、上演されるのを手助けします。ファシリテーターはただの観客ではありません。サポーターです。
クリーンな質問は、拍手や手拍子、声援のようなものかもしれません。
がんばれ、がんばれ!と、クライアントをエンカレッジ(encourage)します。
がんばれ、とは言いません。
それから、少しばかり、記者っぽいこともします。
舞台の実況中継。
「今、進行状況はこんな感じです」と。
この実況中継のことを、リキャップといいます。
そして、その舞台上にはクライアントがいる。
そのクライアントは、何かの役を演じます。
椅子の役を演じることもあれば、草原を演じることもある。ドアを演じることもある。
メタファー・ランドスケープという舞台の中で、人は何にでもなれます。
これを「絵」で例える場合もあります。
私個人の感覚としては、3Dなので、舞台の方がイメージが近いですが、まあ、これは、なんでもいいのです。自分が、体感として、自分がやる作業を覚えやすいイメージであればなんでもいい。
クリーンランゲージは、自分の中で、その作業作業をメタファーにしながら学習していくと、楽ちんです。クリーンランゲージに限ったことでもないですが、「学習メタファー」というもので、これは非常に使えます。(また別の話)
というわけで、話を戻して、まずシンボルを探します。
舞台上におく、椅子やドアや草原、または主演俳優などです。
シンボルは、名詞です。
今日のブログの中で、一つだけ覚えるなら、これをお勧めします。
もう一度、書きます。
シンボルは、名詞。
そして、シンボルには、「形」があることがほとんどです。
舞台照明の光のように形なきものもありますが、それでも言葉は「名詞」です。
意味なきものは、メタファー・ランドスケープの中には存在しません。
演劇の舞台上に、意味がないものがおいていないのと同じです。
(そこにあるはずがないもの、例えば吉本新喜劇の乳首ドリルの小道具が、アンナ・カレーニナの舞台に、何らかで間違えて紛れ込んでいることはある)
まず、初心者の人が注目する必要があるのは、メタファーの文章の中に含まれる名詞と、これ、名詞になるんじゃなかろうかという短いフレーズです。私のおすすめは、「まずは名詞を探す癖をつけること」、です。
「トランポリンの上で妖精が青い空に向かってぴょんぴょん跳ねている」
名詞は、トランポリン、妖精、青い空。
この文章の中で、はっきりシンボルなのは、この3つです。
それから、次にチェックしておくのは、動詞や形容詞などです。
私は、意味を考える前に、相手の言葉の中の品詞を先にチェックします。
メタファーの世界の中では、動詞は関係性、形容詞は特徴を主に表します。
(そこから、シンボルが生まれることもあります。)
「ぴょんぴょん跳ねている」
これは、妖精の動きを表していますが、ちょっと想像してみましょう。
どこから、どこへ、妖精は跳ねているのか?
トランポリンの上にいて、青い空に向かって、ですから、妖精は、トランポリンと青い空の間のどこかにいることになります。
この妖精と、トランポリン、青い空との関係性が、「ぴょんぴょん跳ねている」です。
もっというと、上、向かって、も方向性を表す関係性です。
ぴょんぴょん、は、「どのように」跳ねているかという特徴です。
関係性の特徴ですね。
初心者の人は、ぴょんぴょん、とか、ワクワクとか、擬態語、擬音語に引っかかりやすいですが、このぴょんぴょんは特徴です。
そして、「跳ねている」は関係性。
最初に発展させるのは、まず「シンボル」です。
欲しいものは、それ!
さて、何を発展させましょう?
何を確認しましょう?
名前、場所、特徴2つくらい。
この例の場合、名前はすでにあります。
トランポリン、妖精、青い空。
もしも、この時点で、頭の中に「トランポリンの上で、青い空に向かってぴょんぴょん飛び跳ねている妖精」の絵が見えている方、想像できた方がいたら。
それが、あなたの思い込みです。
「イメージしやすい文章が登場した時ほど注意が必要」です。
イメージしてしまうと、何を聞いていいかわからなくなります。
「探究する」わけですから、「知らないもの」「わからないもの」を辿ればいいのですが、イメージができてしまったら、「わかっている」ので「何がわからないかがわからない」という状態が発生し、何を質問したらいいかが掴みにくくなる可能性があります。
クライアントが言葉にしてくれない限りは、少なくとも、ファシリテーターの目の前にあるのは、空っぽの舞台です。
「トランポリンの上で妖精が青い空に向かってぴょんぴょん跳ねている」
この文章から、トランポリンの場所はわかりますか?
青い空の場所はわかりますか?
わかりません。
そして、トランポリンの場所、青い空の場所がわからないということは、その間にいる妖精の場所もわかりません。
シンボルには、場所が必要です。
・・・となると、さて、どのシンボルから話を始めましょうか?
ここで思い出すのは、最初の言葉やその前に言っていた言葉です。
最初の言葉は、セッションの最後まで大事です。
どれが、青春(元の言葉)という文脈に合うでしょう?
もっというと、SMAPです。
言葉を選ぶ時は、そもそもの言葉をより表していそうな単語を探します。
これを、「コンテクストに沿って(文脈に沿って)」と言います。
クライアントの文脈に沿って。
クライアントの文脈は、「SMAPからの青春からの・・・」、です。
・・・・というように、話は進んでいきます。
そして、「トランポリンの上で妖精が青い空に向かってぴょんぴょん跳ねている」という景色(ランドスケープ)が出来上がったら、ちょいと時間を動かしてみます。
「すると、次に何が起きますか?」
そうして、現れたものが、一つ前の「マグマ」です。
変化が起きたわけですね〜。
それがどのような変化かは、まだ発展させていないのでわかりませんが、これは、私の実生活の中で、言葉なく展開していっている感じがします。
メタファー・ランドスケープの話は、セッションの後に続きます。
だから、ファシリテーターはメタファー・ランドスケープには介入しません。
セッション後のメタファー・ランドスケープが、ちゃんと、クライアント一人で動くようにしておかないといけないからというのも、介入しない理由の一つです。
自律的にメタファー・ランドスケープが動くようにです。
なんだか、話があっちゃこっちゃに飛びましたけれども、リソースワークの復習でした!
<リソースワークで主に使用する質問>
「そして、そのXについて、他に何かありますか?」・・・特徴
「そして、そのXは、どんな(どのような/どんな種類の)Xですか?」・・・特徴
「そして、そのXは、(例えていうと)何のようでしょう?」・・・メタファーにする・シンボルにする・名前
「すると、次に何が起きますか?」・・・・時間を動かす(後ろ)
「そして、その後、何が起きますか?」・・・時間を動かす(後ろ)
「それから、何が起きますか?」・・・時間を動かす(後ろ)
「そして、その直前(ちょっと前)には、何が起きますか?」・・・時間を動かす(前)
「そして、そのXはどこからやって来たのでしょう?」・・・ソース(源/出どころ)
*質問を覚えるときは、紫の文字をセットで覚えましょう。
紫の文字は、その質問の機能(function)です。
全ての質問は、「今、自分はなんの作業をしているか?」を考えながらします。
この機能とそれがもたらす作用の話は、永遠についてきます。
覚えてしまう方が、後が楽です。
<覚えてみようシンタックス(構文)>
とりあえず、ここから。
「そして、クリーンな質問?」・・・1シンタックス
ちょっと余裕があるわ〜、という方は次はこちら。
「そして、Xのとき(に)、
クリーンな質問?」・・・・2シンタックス
ずいぶん、余裕が出てきたわ〜という方は、もう一つチャレンジ。
そして、Xのとき(に)
クリーンな質問?」・・・・3シンタックス
ちなみに、このタイプを使えるようになると、ファシリテーターにいいことが一つあります。それは、クライアントさんは知らなくていいので、ここには書きません。
そして、最終的には、1、2、3シンタックスを混ぜて使用します。
1シンタックス、2シンタックスの利用頻度が高いです。
3だけしかできないと、いろいろ不都合が登場するので、まずは1からスタート!
そして、また、今、書いたことは、私の練習モデルなので、自分がやりやすいやり方があれば、それを見つけるといいかなと思います。
要するに、なんでもいいから、できればいい。
最後にもう一度。
シンボルは名詞。
というわけで、今日はここまで。