DAY11: トレーナーという名前のファシリテーター

プラクティスグループを立ち上げよう。


PR2Oフェスティバルが終わった翌日の朝、つまり今朝、私は決めた。

もう少し後にするつもりだった。


......


話は少し、時間が戻る。


PR2Oフェスティバルで使う動画の編集が終わったのは、それが始まる4時間前だった。


動画の中に、初心者の人には明らかに別に説明が必要な単語が2つ、3つあった。

そこをどう翻訳するか、注釈を入れるかどうか、最後まで私は決めかねていた。

そのままいこうと腹をくくり、そして、編集を終えた。


なにしろ、今夜やるワークの内容が、まだ固まっていなかったからだ。


編集が終わり、どうするかなと思った瞬間、英語のメールが届いた。

がんばりなさい、終わったら話を聞かせてねというメールだった。


見てたのか?!というくらいのタイミングだった。


そこから、私は、キラキラ星変奏曲を聴きまくった。


また2時間、何も決まらず過ぎた。

大丈夫だろうか?と、さすがに不安になった瞬間、もう一通、英語のメールが届いた。

別の先生から。


見てたのか?!というタイミングだった。

ボロボロ泣いた私を見たことがある先生からだった。


「あの赤ちゃん(メタファー)が、トレーナーに変わったことを、とても嬉しく思います」と書いてあった。


その赤ちゃんは、過去、やや物騒な、催眠爆弾を無邪気にボンボン放り投げて破壊活動に勤しむ赤ちゃんだった。

その爆弾は、誰も傷つけない。

誰も、それが爆弾だとは気づかない。

けれど、破壊活動には違いない。

その先に、美しい街があるから。

ブレーメンの音楽隊と一緒に、その街にたどり着くために、赤ちゃんは爆弾を投げ続ける。



「いけいけ、赤ちゃん!」と、いたずらっ子な笑みを浮かべながら、その時、その先生は、あれは確かに煽った(笑)



メールを読んで、私の気持ちは落ちついた。



30分前、まだ、内容が決まらなかった。


キラキラ星変奏曲のリズムを、体が、覚えようとしはじめた。

レベル1のリズムをとり続けること、少しずつレベルを上げて、レベル3にもっていくこと。


けれど、リズムは、レベル1のリズム、レベル1のリズム、と、頭の中で繰り返す何かの声がした。

私の声ですね(笑)



参加者さんの顔を見て決めよう、アドリブでいこう、と、腹をくくったのは30分前だった。

私は、ピアノの発表会の奇跡を思い出した。


毎度、そこでは奇跡が起きた。

練習で一度もミスタッチせずに弾けなかった箇所は、いつも必ず、本番では弾けた。

奏でるものがピアノなのか、言葉なのかだけの違いだ。


「よし、今日は歌を歌おう」と私は決めた。

吟遊詩人にでもなったつもりで。

吟遊詩人は、オールアドリブなもんだろう。



2回したフェスティバルのリハーサルで、気をつけないといけないことはわかっていた。



始まる前のスタッフミーティングのクリーンセットアップで、私以外の2人のメタファーを聞いて、私は「大丈夫だ」と確信した。


ありがとう、と、思った。


猫がやってきて、私の隣で眠りはじめた。




やってみてわかったことには、私が一度に同時にモデリングできる人数は、zoomなら、現在、今回の人数が限界だなということだった。


オフラインでやるなら、あと数人はいけるかもしれない。



そして、フェスティバルが終わったあと、「練習したい」と言ってきた人たちがいた。


その後、少しだけ、スタッフで振り返りをした。



そしてその後、私は、マラソンを走った後みたいにクタクタになっている自分に気づいた。



それで、寝た。



そして、起きた。


そして、プラクティスグループを立ち上げよう、と、決めた。

2グループ。



そして、自分の肩書きをひとつ追加することに決めた。


トレーナー。


練習する人は、先生と一緒に練習したいだろうと思ったから。


そして、ああ、そういうことか、と、私は理解した。


なぜ、「トレーニングは犬にするもんだ、自分はトレーニングという言葉は嫌いだ、人間には別のことが必要だ」という彼が、トレーナーでい続けてきたかというその理由。



プラクティスグループを立ち上げるその日、私は、シンボリック・モデリングのトレーナーになる。


自然に、それがとても自然なことのように感じた。


私は、トレーナーになるためのトレーニングを、7年間してもらい続けたのだと理解した。


気づいてませんでしたけどね、例によって!



そして、また、数年前、トレーニング中に、先生に言われた言葉を思いだした。


「あなた、今やったのはトレーニングレベルのファシリテーションじゃないわよ。どうして、できるのに、わざわざ基礎のトレーニングを受けに来たの?」


それから、少しイラっとして言う彼の言葉を思いだした。

「人に説明するときは....!」



彼らは、私が気づく前に、気づいていたのかもしれない。



プラクティスグループを立ち上げるその日、私はトレーナーになる。


トレーナーという名前のファシリテーターになる。

学習をファシリテーションするファシリテーターになる。


分かち合うために。