夫の母が言ったこと
最近、どうにも思い出して仕方ないのでなんとなく書いておくことにした。
夫の母が言ったこと。
夫と言っても前の夫。
あなたは不思議な子ね、と彼女はよく言った。
それから、これもよく言った。
あなたが思うことは一般的じゃないけれど、それは無理ないわよ。
あなたのように常に頭の中に音楽が流れている人とそうでない人は思うことは違って当然よ。
彼女は、私をうちのお嫁ちゃんと呼び、非常に私を可愛がってくれた。
私はまだ若くて、二十代前半だった。
お嫁さんという雰囲気ではないという理由で、私はお嫁ちゃんと呼ばれていた。
お正月、親戚の集まりに出た後は必ず、おつかれさま、よくがんばりました、と言われた。
前の夫と別れる時、私の話を聞いて、「そんなだんなはいらんわ。捨ててしまい」と自分の息子を切り捨てたような言い方で言った。
それから言った。
必ず、再婚しなさいね。
幸せになりなさい。
それから、私は、仕事の関係で、大阪、東京、名古屋、京都と移り住み、やがて何年かして、地元に帰ってから、彼女に連絡した。
彼女は連絡を喜んでくれて、そして、また言った。
再婚しなさいよ。
幸せになりなさい。
そして、言った。
あなたの頭の中には音楽が流れている。
それを理解してくれる人が必ずいるはずよ。
思い出したのは、頭の中を音楽が流れているというフレーズだ。
そして少し考えこんだ。