予感
予感でドキドキしはじめた。
予感のはじまりは、昨日、参加したミーティングだった。
そのミーティングは、この週末からはじまる日本人向けのシンボリック・モデリングのワークショップのスタッフミーティングだった。
私は末端のアシスタント。
パソコンの中に、実に私にとっては目新しい景色が広がった。
ジェームズとペニー、それから日本人だけ。
そこには、私の旅仲間もいた。
私が実際に海外にトレーニングに行ったとき、いつも一緒だった友達。
それから、ジーナが日本に来たときに手伝ってくれた仲間。
普段、勉強会で一緒で、私がまじめに翻訳に取り組みはじめるきっかけを作った仲間。
私はわあ、なんだか、楽しいなあと思った。
そして、そこで、ジェームズは通訳の人に言った。
「私たちは日本人が、主語を省略するのを知っています。もしも、クライアントが、私、や、私のと言った言葉を使わなかったら、そのままそれを抜いて訳していい。言葉の順番が多少おかしくても構わない」
そして、彼らと通訳さんは実際のやり方を、少しだけ、練習した。
話を少しだけ知っていた天才的に素晴らしいオーガナイザーが、私をクライアント役に選んでくれた。
それで私は、2回目の練習で、クライアント役をした。
そこで、私はわざと、絶対にジェームズが見たことがないはずの形の答え方をした。
相手がネイティブの日本語話者なら、いくらでもあるそのパターン。
英語ではありえないパターン。
それをモデリングしてもらおうと思った。
ここまで、私はそれをジェームズとペニーに、文章では説明してきていた。
レポートも出した。
けれど、彼は、実際には聞いたことがないはずの回答。
そして、私は、ジェームズが、私が予想したとおりの質問を使い、私が予想したとおりに次の質問を考えこみ、そして、「ああ、なるほど!」という質問をしたのを見た。
私は思わず、「それはいい質問です」と言い、それを聞いたペニーが笑った。
私はノートに、書き込んだ。
なぜなら、話は12月に続くのだ。
私の仕事は8割終わったと、私は思った。
私の仕事は、伝えること。
あとは、魔法使いが考えてくれるはず。
私の頭じゃ無理なんすよ。
IQが足りないんだもん。
考えてもらわなくちゃ無理なんだもん。
そして考えてくれるのは、ううん、魔法使いじゃない。
天才モデラーたち。
私の師匠。
シンボリック・モデリングと、あと、文章の書き方も。
私は、彼らは、たくさんたくさん、頭をひねって、たくさん考えて、モデルを生み出してきたんだと、質問を考えるジェームズの顔をみて思った。
見たことがない顔をしていた。
魔法を生みだしてきたものは、魔法ではないのだと、私は知った。
今、彼らは、日本語をモデリングしてくれている。
この土曜日から始まる三日間でも、彼らはモデリングするだろう。
つまり、私含めた参加者の人たちは、学者するだけじゃなく、シンボリック・モデリングが生まれ、発展してきた中で彼らがしたような作業に、立ち会うことになるのだろう。
なんて、ドラマちっく!
たくさんの人の多様なリソースが絡み合う瞬間。
歴史の中に。
日本語のシンボリック・モデリングの質問やパターンを、彼らがモデリングする中に。
そこに入っていけるんだ!と、私はワクワクした。
2人が少しずつ仕事を減らしていっているのは、見ていてわかる。
多分、私は、きっとぎりぎり間に合ったのだ、またしても。
私は、なんでも、だいたい、ぎりぎりなんだもの。
私は、自分が数年前、最初のメールに書いたことと、最近のメールに書いたこと、そして、私とジェームズの間で意見が一致していることを思いだした。
私たちは、同じ惑星に住む、人間だ。
私たちは、違う言葉を話す。
違う順番で思考する。
けれど、そこに現れる構造は同じだ。
私たちは、同じ惑星に住む人間だ、ということ。
人間は、人間なのです。
それが、最初から一貫した私の主張で、彼と一致している意見だ。
そして、私は、私の取り組んでいるテーマ、ううん、私だけじゃなくて、世界中のたくさんの人が取り組んでいるテーマは、「バベルの塔」なのではないかと、ふと思った。
神さまは、きっと、いつか、みんなで力を合わせて、人が理解しあえるのは言葉以外のもの、けれど、互いの言葉を理解しあおうとするとき、そこに生まれる何かのために、みなの言葉をバラバラにしたのではないかと思った。
そしてそれから、私は、予感でワクワクした。
ともかく、私は、ワクワクした。
歴史を見ることができる。
どのようにモデリングするかを、目で見ることができる。
ただPROを学者するだけじゃない。
わあ〜!と、私は舞い上がり、それから我にかえり、遅れているまた別の翻訳を地味にした。
ちなみに、もし、あなたがシンボリック・モデリングを少しでも習ったことがあるか、または、なんらかのコーチとかであれば、少しでもクリーンランゲージに触れたことがあれば、そのワークショップはまだ参加申し込みができます。
参加者には、ほとんど初心者の方も混じっています。
三日間ですが、参加できない日があれば、動画でその部分は学習できます。
もし、興味があれば、クリーン実験室のホームページから見てみてください。
そして、もし、参加するなら、同じホームページの中のブログで、ザクッとPROの仕組みと、クリーンな質問を頭にいれてくれば、まあ、大丈夫なんじゃないかと。。。
(私は、このワークショップでは、一銭も利益は得ません。まじでこれは素晴らしい企画だし、オーガナイザーさんの懐が異様に広いから、こんなことを同時で進行しちゃえるわけだし、そんなワークショップはまあ滅多にないので、おすすめと思っているから、紹介しているだけ)
日本語をモデリングするジェームズやペニーが、生で見れて、同じ空間に入れると思うだけで、私は、ゾクゾクします。
ちゃんと仕事はするんだけど。
予感がする。
探し求めたものが、ほんのすぐ近くまで来てる予感がする。