それは、あなたの望みですか?

セルフについての考察で、また別に書くといった、「ぼんやりしたメタファー・ランドスケープについて」です。


ファシリテーターそして、あなたは何が起きれば好いのでしょう


クライアント:仕事で結果を出して、評価してもらいたいんです。



【これまでの私の推測(私の頭の中の推測)】


評価してもらいたい...「評価が欲しい」という発言は、経験的には何か裏にあるかもしれないけど、発言自体はアウトカム。

「誰から?」という謎はあるけど、まあ、そのうち登場するだろう。


仕事で結果を出す...評価してもらう手段、条件。文脈的には、「仕事で結果を出したい」ともとれる。



というわけで、PROで分けるなら、仕事で結果を出して、評価してもらいたい」にはプロブレムもレメディも含まれておらず(裏にはあるかもしれないけれど)、望む言葉「〜たい」がそこにある。


とりあえず、シンプルなやり方でも、発展させ始められる内容ではある。


そして、クライアントの答えは、ファシリテーターが、「あなたは〜?」と問いかけて、そこに対する答えなわけです。


クライアントは、「私は〜」とは言っていませんが、当然、クライアントは、クライアント自身のことを話しているに違いありません。(日本語ネイティブであるが故の私の思い込み)


発言としては、とてもシンプルにアウトカム。そこにたどり着くまでのプロセス(仕事で結果を出す)も、一応あるので、じゃあ、まあ、クライアントにセルフ・モデリングをスタートしてもらいましょう。


あとは、何が起きるかをみてみましょう。



【ただいま実験中なため、その前に、一つ質問。「私」という言葉も欲しいですしね】


ファシリテーターそして、仕事で結果を出して評価してもらいたいのは、

クライアント:ん〜、結果を出して欲しいのは、そうですねえ、上司で、評価も、まあ、私はどっちでもいいんですけど。それよりは、週に2回、ちゃんと休める方が大事なので。



仕事で結果を出すのは、「上司の望み」

評価は、「クライアントはどっちでもいい」

クライアントが大事なことは「ちゃんと休めること」



シンボリック・モデリングでは、クライアントが望んでいたり、望んだりするアウトカム(結果)を発展させます。


上司の望みや、クライアント本人が叶おうが叶うまいがどっちでもいい望みを発展させるわけではありません。



つまり、このアウトカムに見えた発言に、主語を足してみると、それは、アウトカムではなく、単なる状況説明だったことがわかります。


自分に対して何かを望む人がいて、自分はそれはどっちでもいい。
そういう状況があります、という説明。



このやりとりを通して、時に現れる「望んでいる/望むアウトカム」を発展させたはずなのに、「ぼんやりしているメタファー・ランドスケープ」の理由の一つが、私には理解できたような気がしました。


そこには、「クライアントの望み」が存在しなかったのだと、私は理解したのです。

けれど、クライアント自身も、そのことには気づかず、誰かの願いを自分の願いにしようとしていることがあること。



私はこれまで、クライアントが省略する主語は、「私(一人称)」「あなた(二人称)」、「私たち(一人称複数)」だけかと思っていました。


三人称(彼、彼女)を省略することは、ほとんどないと考えていました。


しかし、この実例が私に教えたことは、「他者の願いをあたかも自分の願いのように、クライアントは話すことがある」という事実でした。そして問いかけられるまで、それに気づかないことがあるということ。



その理由は様々なことでしょう。

この場合、理由を追求する必要はありませんので、それは心理学者に委ねたいと思います。


この場合、話は、シンボリック・モデリング。

シンボリック・モデリングに、願う理由は必要ありません。
少なくとも、初期段階には必要ありません。
(後から、望みの出どころを探究することはあります)


必要なのは、「その人の望みそのもの」です。


なぜならば、シンボリック・モデリングは、「アウトカム志向」のプロセスだからです。



この例の場合、ファシリテーターは、もう一度、問いかける必要があります。



そして上司は、あなた仕事で結果を出して欲しい、
そしてあなたは、評価はどちらでもいい、そしてあなた週に2日休める方が大事なとき

あなたは何が起きれば好いのでしょう?


質問の中で、「誰が、何を」を、はっきりと区別します。



「私」という言葉さえ手に入れていれば、この質問は使用可能です。


できるだけ早い段階で、クライアントの口から「私」にご登場いただくことで、クライアントの意識が自分に向かうのをサポートできることだけは間違いないと思います。

シンボリック・モデリングで、ファシリテーターがサポートするのは、「セルフ・モデリング」です。セルフ、すなわち、自己、自分。
自分と繋がっていただいて、話はそれから。

そこに、「私」の存在は、必ず必要です。
全てのメタファー・ランドスケープの生みの親は、セルフ(自己/自分)です。

そこのサポートを、いかにしていくか、いかにセルフを勇気づけ、励ますことができるか。
そういうことも、ファシリテーションに必要なポイントかもしれません。

発展させるのは、「あなたの/私の」望みです。
他の誰の望みでもありません。

もちろん、起きても起きなくてもどっちでもいい望み、でもありません。