わかるように書いて欲しいというクレームを頂いたので、ねえ、羊の絵を描いて |クリーンランゲージ

「ねえ、羊の絵を描いて」


砂漠の真ん中で、星の王子様がそう言った時、星の王子様が納得した絵はどんな絵だったか、ご存知ですか?


誰かに「ねえ、羊の絵を描いて」と言われたら、あなたはどんな絵を描きますか?


砂漠の真ん中で、初めて会う人からそう言われたら。



物語の主人公が描いた絵には、「違う違う」と何度も王子様からクレームがつき、そして、主人公が最終的に描いた絵は、箱でした。


そして、星の王子様は納得したのです。

箱の中に羊がいると。


主人公が箱を描いたら、星の王子様が、これは羊だと納得したのです。



今朝、はじめて、私が、自分の言葉で、クリーンランゲージ&シンボリック・モデリングを、最初から説明するならどうなるだろう?と本気で考えました。


なぜかというと、「ブログにクリーンランゲージのことが書きたいなら、まずはクリーンランゲージについて、ちゃんと説明してほしい」と、とある長きに渡るブログの読者の方からメールを頂いたからです。


クリーンランゲージを学んでない、多分、今後も学ばない、単に、あなたのブログが読みたいだけ、そういう人にもわかるように説明してちょうだいと。



そして、浮かんできたのは、この星の王子様の中の一部でした。


「ねえ、羊の絵を描いて」



こんな感じのやりとりは、日々たくさん発生してますよね。

羊の絵は、書類かもしれない、打ち合わせかもしれない、商品かもしれない。

そして、人生かもしれない。

「お母さん、明日はかわいいお弁当にして!」かもしれない。

「私のことを理解してほしいの」かもしれない。

「あの人、いったい何を考えてるの?」かもしれない。

「私の人生はどんなもの?」かもしれない。

「未来が見えない」かもしれない。


書類、打ち合わせ、商品、お弁当、私、あの人、私の人生、未来、なんだって、箱の中の羊になりえます。



私は、思うのです。

もしも今の私が、その場にいたなら、主人公が絵を描く時間は、もう少し、短くてすんだかも、と。


私がいたなら、私は星の王子様に質問して、主人公と王子様を手伝うことができたわねと。


実に楽しいセッションになったに違いない、砂漠の真ん中ですもんねと。


星の王子様に尋ねるんです。

「そして、羊の絵を描いて。その羊について他に何かあるかしら?」

「その羊はどこにいたいのかしら?」(箱の中!でしょう)


いろいろ。



さて。


クリーンランゲージ&シンボリック・モデリングは、クリーンランゲージそのものではありません。


クリーンランゲージを使った、シンボリック・モデリングです。


&」は、「を使った」の省略だ、最初の段階でこれをはっきりさせておくのは重要だからしっかり伝えてねと、もうずいぶん前になりますが、ジェームズがメールに書いていました。


シンボリック・モデリングは、クリーンランゲージではないよ、と。

クリーンランゲージを使った、シンボリック・モデリングだよと。


彼は、英語の世界では、誤解もたくさんあって、もはや手遅れかもしれないが、日本語はまだ間に合うからと書いていました。



私の理解では、クリーンランゲージは、質問セットです。


その質問セットの特徴を、日本向けに書くなら、こんな感じになるのかなあ。


*質問の中に含まれる前提条件を最小限までに減らしてある。


*質問の中の主語、目的語は、相手(クライアント)が使った言葉をそのまま使う。


*質問に返ってきた答えについて、質問者側が自分の意見や感想を述べない。



質問を使う時に必要なことは、「自分の理解や価値観を相手に押し付けない、決めつけない」です。


たまに推測しないと思いこんでいる方がいるらしいのですが、(これは世界共通にいるらしい)、推測はします。

でないと質問が選べません。

その推測に、自分個人の世界観や価値観が入り込みにくいように、クリーンランゲージの質問は作られています。

つまり、クライアントが使った言葉しか使わないんですね。




そして、どのクリーンランゲージを使った技法でも、質問者側がしている作業は、以下のとおりです。


相手(クライアント)の話を傾聴する。



相手の話の中から、次の質問の主語を決め、使うクリーンな質問を選んで決める。



相手に質問する。



実に簡単3ステップとなっています。



この時、次の質問の主語や目的語を決めるのに、言葉を選ぶ基準が、それぞれの技法により異なります。


シンボリック・モデリングの言葉を選ぶ基準をすごくざっくり説明すると...


*クライアントがそれを好きか嫌いか。


*クライアントにとって、それは価値があるかないか。


*クライアントが、今、それを持ってるか持ってないか。


非常にシンプルな基準で選んでいます。

これは、どこまで進んでも同じです。



これらの作業には目的があります。

もちろん。


シンボリック・モデリングが面白いのは、この目的が、問題解決とは捉えられていないことです。


私は、割とここが気にいっています。



さて、私、今、自分が何の話をはじめたかに気づきました。


いわば、クリーンランゲージ&シンボリック・モデリングを、箱の中の羊に見立てて、星の王子様にしか見えない羊ではなく、誰にも見えるところに、羊に現れてみてもらおうと。


そんな感じかもしれません。


教える目的ではなく、ただ、私の理解を楽しくシェアするために。


ペニーとジェームズが、その本の中で、ミケランジェロから説明しはじめた話を、私は、星の王子様からはじめる話だと理解したようです。


共通しているのは、ご本人にはわかっているけど、まだ見えてないし、世界にも現れていないそういうもの。


まだ見ぬ世界。



私が好きなものの話をしよう。



そして、わからないと教えてくれてありがとうございました。

それって、知りたいってことでしょう?


私が好きなものを、知りたいと思ってくれてありがとう。


わからなかったら、遠慮なくご連絡ください。

あなたがわかるまで、説明します。


好きな話はいくらでも。