DAY92: 実際

実際の話、「そして、あなたは何が起きてくれたら好いのでしょう?」と問いかけた時に何が起きているかというと。

私の経験では、リアルなセッションでは、私のクライアントさんは、8割くらいの人が、「今、聞いて欲しい話」をし始めます。

そして、それは、これまた私の経験では、最長30分に及んだことがあります。
その間、私は、何にも言わずに、ただ相槌だけを打っていました。
なぜ、30分かというと、30分目でついに私が止めたからです(笑)
止めなければ、最長記録は更新できたと思いますが、流石に、クライアントが息継ぎした瞬間に、「そして、それらが全てそのような時、あなたは何が起きてくれたら好いのでしょう?」と質問しました。

優しく優しく。



15分くらい喋り続ける人は、しょっちゅういます。

その人が起きて欲しかったことは、「とりあえず、話を聞いて!」だったのでしょう。
多分、その行動はレメディでしかないのですが、とりあえず、「すると、何が起きる?」を、私は待ちます。

何度も繰り返し出てくる単語だけを、メモに取りながら。

話を聞いてほしい(とは言っていないが、行動で示している)という人の話を聞く、「すると、何が起きる?」


私個人的には、これは、仕事をする上で、自分がとても楽ちんに話を聞き続けられるようになったいい恩恵でした。クリーンなスタンスであれば、長時間、一方的に話し続けるクライアントさんが全くしんどくならなかったのです。
「常にタイミングとチャンスを窺う」という仕事が自分にできたからです。
だらだら話を聞いているだけ、ではなくなったのです。


そして、「そして、あなたは、このセッションで、何が起きてくれたら好いのでしょう?」とやや範囲を限定して起きたらいいなあということを問いかけてみたら。

それでも、私の経験では、7割くらいの人が、「このセッションの中では起こせないこと」を話します。



私が「何が起きてくれたら好いのでしょう?」というこの質問が好きな理由は、クライアントが好きなことを話せるところでもあります。

時には、「ほな、なんで、セッションを受けにきたの?」とこちらが聞きたくなるような返事も返ってきます。


「何も起きて欲しくない」

「わかりません」


私が、クリーンランゲージが好きな理由の一つは、この一見やる気がないような返事、これが、ファシリテーターには非常に美味しい返答として扱えるからです。


クライアントは、わからないまま、何も起きて欲しくないまま、それを尊重したまま、ファシリテーターは、セッションを展開させ始めることができます。

クライアントのやる気を促進する必要もなければ、何かを考えてみるように励ましてみる必要もない。(むしろ、シンボリック・モデリング的には、これはやっちゃいけないことに入っています。介入になるから。それでも必要な時はあるので、それが必要な時は、クリーンな質問やサイコアクティブな状態を使わないでやります。)


クリーンランゲージならば、何も起きて欲しくない、わからない、そこから、話を広げることができます。

それを足掛かりにして、その人の望みを探究していくことができます。


その人は少なくとも、「何も起きて欲しくないこと」「わからないこと」、それを知っている。

その知っていることを使って、セッションを始めることができる。


だから、好きです。