DAY110: ファシリテーターの目線

物事や事柄を、どこから見た目線なのかによって、その見え方は変わりますが。


シンボリック・モデリングが特異なのは、初心者が目にする説明に、クライアントの目線から見たメタファーと、ファシリテーターの目線から見たメタファーが入り混じっていることです。


動作については、ファシリテーターの目線から。

プロセスについては、クライアントの目線から。



これは、シンボリック・モデリングがセルフ・モデリングをファシリテーションする技法で、そこで使用する手段が、クリーンランゲージというボトムアップのモデル(デイビッドは、モデルという言葉は使っていませんでした)だったことに関係するのではないかと、推測しています。



シンボリック・モデリングやクリーンランゲージを知るまでに、なんらかの傾聴スキルの訓練や学習をしたことがある人は、おそらくは、無意識に、頭の中で、そのメタファー(用語的に使われてはいますが、メタファー)が、どちらの目線からのものなのかが切り分けできます。


けれど、もしも、その人がはじめて触れる傾聴の技法が、シンボリック・モデリングだったとしたら。


二つの目線がごっちゃになることがあるのではないか?、それが時に、理解が難しい人がいる原因ではないか?


そう、今朝、浮かびました。



ちなみに、シンボリック・モデリングの用語として使われているメタファー、例えば、PROモデルのプロブレムやレメディ、そして、(クライアントが)望んでいるアウトカム。

これらは単なるラベルです。


発展させる質問。

これも単なる質問をカテゴリー分けするラベルです。


「これは、別に他の呼び方をしたければそれで構わない、ただ話をする時に、共通ラベルが必要なので、名前がつけてあるだけ」というのが、シンボリック・モデリングの開発者は、明言しています。


ラベルに必要なのは、ファシリテーターをサポートする機能というのも、はっきりしています。

(だから、翻訳するときは、機能、を翻訳する努力がいるので、私自身のファシリテーターとしての理解やスキルが必要となり、逆に難しいこともあります。が、まあ、それは、私の問題。)


「電子レンジで温める」と言おうと、「電子レンジでチン!」と言おうと、「魔法の箱で魔法をかける」と言おうと、電子レンジのスタートボタンを押せば、中に入れたものは温まります。


用語はラベルにすぎない、それは、私個人的には、元エンジニア(技術者)が開発した技法らしいなと感じています。

ちなみに、彼らが作るシンボリック・モデリングの図に、やたら回路図みたいなのが多いのも、彼が、エンジニア畑の出身だからだろうと思っています。



おそらく方針としては、ファシリテーターは技術者なので、どう理解しようが、ファシリテーションができればいい。


シンボリック・モデリングのフレームは、彼らが、クリーンランゲージを使用したセッションを教える中で、ファシリテーターをサポートするために生まれたものです。


言葉を変えるなら、多くのファシリテーターたちの「わからない」が、技法を発展させたともいえるのかもしれません。

少なくとも、技法の発展の片側にあったものは、それだろうと思います。

ファシリテーターのモデリング。


もう片側は、デイビッド・グローブのモデリング。



さて、目線。


さて、では、これを、全て、ファシリテーターの目線から説明したらどうなるだろう?と、ふと、今朝、私は思いました。


そうすると、シンボリック・モデリングでファシリテーターがしていることの数は、一気に減ります。


クライアントの非言語表現をよく観察して、クライアントの言葉をよく聞く。

見聞きしたものから、クライアントの様子をキャリブレーションする。

見聞きしたものから、質問するために、モデリングする。

質問する場所を決める。

クリーンな質問を使って質問する。

クライアントに何が起きるかを見る。

また元に戻る。繰り返し。



最初の3つ。

これは、何らか傾聴スキルの訓練ができている人は、比較的、すぐできると思います。

何をモデリングするのか、その対象が、一般的な傾聴スキルとは違うので、その切り替えだけ、最初は少し時間がかかるかもしれませんが、基本は同じです。

人ではなく、構造をモデリングします。

メタファーの世界の構造。

言い換えるなら、思考構造やパターン。


質問する場所を決めるために、ガイドになっているのは、PROモデルという、言葉を、クライアントの発言の種類で分けるモデルです。

まあ、実際は、シンボリック・モデリングで区分分けされる言葉の瞬間は6つです。


探求する言葉は、最初は主に、クライアントのアウトカム、それから、リソースです。

この2つが、クライアントの発言から見つけらるようになる、これがファシリテーターがクリアする必要がある1段階目です。



...とまあ、今朝は、頭の中で、言葉が踊り続けています。



そして、私は気づきました。


ああ、そうか。

この先は、クライアントの目線だけではなく、私のファシリテーターとしての目線が必要なんだ。



少し、進みました。