DAY85
英単語の話をしましょう。
なぜに英単語の話なのかというと、英単語の話だからです。
シンボリック・モデリングの用語は、そのほとんど全てがメタファーです。
例えば、「発展させる質問」。
これが、最初の最初に習う質問の区分の名称です。
これは、省略表記で、省略せずに書くと、この質問は、「クライアントがメタファーを発展させるのをファシリテーションする質問」です。
発展させるのは、クライアントです。
まずは、これが大事。
セッション中、ファシリテーターがしていることは、常に、なんらかのファシリテーションであって、ファシリテーターが発展させたりなんやかんやはしません。
それは、クライアントの仕事でございます。
なぜなら、シンボリック・モデリングは、セルフ・モデリングの技法だから。
セルフ。
このセルフは、自己、自分自身でもあるし、日本語でいうセルフサービスのセルフ「自分でやる」の意味とも一緒です。
クライアントは、作業を自分でやります。
というように、全ての質問の区分や用語を、日本語の文章にしていく作業の中で、私が、プラグマティックな日本社会に合わせるべくスタートさせた作業。
それは、メタファーを、ファシリテーターがする「行動」に変換する作業でした。
そうすると登場したのが、数々のメタファーたち。
理解をサポートするときの用語。
そうして、その話をクリーン仲間としていた時、「発展させる」、Developの意味の話になりました。
奇跡の組み合わせと、私は笑ったことがあるのですが、この仲間は、英語学科、私は、英文学科を卒業しておりました。
2人は、英語を習っていましたが、英語科と英文学科では、習った観点が異なったのです。
言葉のどこに焦点が当たっていたかが違ったのです。
それが非常によかった。
そして、私たちは、Developについて、再び、辞書の確認から始めました。
そして、日本語の「発展」という言葉が持つ意味を考えました。
こちらもまた、メタファー的な言葉です。
人により、解釈が分かれるだろうと思います。
抽象概念のメタファーとしての「Develop」は、私の感覚では、「発展させる」という日本語では、カバーしきれません。
私の感覚では、クライアントは、メタファーを開発してる感覚があります。
注意して観察している感覚があります。
そして、何より、日本語の「発展」は、単体で存在するとき、この後起きることがポジティブなイメージで使われている印象があります。
しかし現実としては、メタファーを発展させた結果、問題が登場することが、頻繁にあります。
何が起きるか、いつでも、わからない。
クライアント自身にすら、わからない。
だから、ファシリテーターがいます。
いまさら定着している単語の訳を変えるメリットは、あまり見つかりませんでした。
この10年近く蓄積された経験と、これからクリーンランゲージの世界に入ってくる人の知識に分断が起きる必要性は感じません。
しかし改良の余地はある。
すると、何が起きればいいのか?
私の頭に、ジェームズが時々する、「私のメタファー解説」が浮かびました。
クリーンとしてではなく、彼が分析した私のメタファーから推測できる「現実的な何か」を、彼は話してくれることがあります。
主に彼が持つ知恵と、この後、私が何をすればいいかのヒントみたいなものです。
発展させるパートで、クライアントは何をしているのか?
ファシリテーターは、何をしているのか?
私がこの10年少しみ続けたもの、やり続けたことを、言葉にしてみるといいのかもしれません。
おそらくは、そのほとんどは、すでに彼らがどこかに書いています。
それを、日本語話者が、日本語で、書けばいいのかもしれない。
これは、こういう感じのことです、と。
その感覚を。行動を。
たくさんの日本語話者のクライアントと、日本語話者のファシリテーターたちが見つけたことを。
ここまで来たとき、また別のことが頭に浮かびました。
でも、それはまた別のはなし。