本日はノロケを

 

その昔、私がまだ再婚する前に父が言いました。

「君はもう、結婚しないのか?」


私は言いました。

「私は、奥さんにはなれない。」


父は言いました。

「今は、専業主夫になりたい男の人だっているやろう?もう結婚はしないつもりか?」



数年後、私の目の前に、私より4歳年上の男性が再登場しました。

私の学生時代の友人たちはどよめきました。

なぜならば、その人は、私が大学時代に片想いしていた人だったからです。


その人はまだ独身のままでした。


私と最初に2人でご飯を食べに行くことになった時、その人は、待ち合わせ場所に歩いてくる私を見て、「ああ、僕はこの人と結婚するな」と「わかった」のだそうです。


私は、何も感じませんでした。

先輩とご飯を食べに行くくらいの気持ちでした。


けれど、その三ヶ月後には、私たちは結婚していました。


最初に私は言いました。

「私は頑張りません。私は家事は苦手です。それに、働きながら家事をする、それは働く女性のほとんどが当たり前にしていること。専業主婦など365日、休みはありません。なぜあなたが男性だから、たまにそれをしたからといって、すごいことになるかが私にはわかりません。」


今、私は、これを言ったことを非常に後悔しています。

なぜならば、彼は、私の世代には珍しかった家族全員で家事をするのが当たり前の家庭に育っておりました。

しかも、彼に家事を仕込んだのは、大正生まれの彼の祖母でした。

夫は、私より家事がうまかったのです。


私は、結婚早々、掃除機の使い方が悪いと、夫から注意されることになりました。

私は、夫は、注意したことを後悔していると思います。

なぜならば、口達者な妻はすぐに満面の笑顔で言ったからです。


「上手な人がやる方がいいよね。じゃあ、掃除はあなたの担当ね!」


そして、掃除機をかける夫のそばで、私は「さっすがあ!」「うまい!私では無理やわ」などと言いながら、拍手しました。


以降12年の間に、私が掃除機を持ったのは、100回に満たないと思います。

今は、土曜日に外出してくるように言われています。

私は掃除の邪魔なのだそうです。

帰ると家が片付いているので、「わあ、すご〜い!素敵!」と言いながら歩きます。



いつだったか、2人でテレビで「家事をやらない配偶者に家事をさせる方法」を見ていた時、「やったらほめる」が効果的だと、そこでは論じられていました。


夫はテレビを見つめながら、「うちは、やらないやつが、褒めるのもうまいからなあ」と呟いていました。


私の12年間は、「すごい!」とか「一生のお願い!」とか、彼を褒めたりおだてたり、甘えてみたり、いかに自分が家事を回避するかに費やされました。


私が担当しているのは、食と健康の部分、ペットの世話、それからトイレ掃除だけです。

夫に任せるとひどいことになる部分で、なおかつ、私の方が得意なものです。


トイレ掃除は、私は好きなのです。

洗濯は、衣服は夫、眠るためのもの、タオルは私です。

夫にはシーツや毛布を洗うという概念がありませんでした。

私は、きれいなシーツや毛布、パジャマでなければ眠れません。長くても二日で替えます。

できれば、毎日、洗い立てで眠りたいです。


タオルは少しでも使ったものは、もう使いたくありません。手を洗ったら毎回、新しいタオルを使います。

私は、そこだけが神経質なのです。



そうして12年、最近、実家のことで、私は留守がちです。

私は今、外では、元気な顔しか見せられない状況です。


夫が家の中にいるもう1人の子供ではなく、サポートしてくれる優しい大人の男性だったことが、私を支えてくれています。



たまにはノロケもいいかと思い、本日はノロケでした。


私が外で、くったくなく笑顔を振り撒き続けられる裏には、彼がいます。

私の人生の最大のサポーターであり、最大の理解者は、私の夫です。